みなさま、こんにちは。 夕刊プロレス発行人の桃太郎でございます。
1995年10月30日に創刊しました夕刊プロレスが2003年2月4日に2500号を達成いたしました。
7年3ヶ月の間にたくさんの方々から投稿をいただいて、どうにかここまで続けてこられました。
投稿してくださったみなさま、本当にありがとうございました。 特に、レギュラーコラムニトと
して締め切りに追われながら入稿してくださったみなさんには、言い尽くせない感謝の気持ちがございます。
号数を重ねるたびに過去になっていく原稿を少しでも記憶にとどめようと、このたび、
夕刊プロレスコラムニスト列伝なるものを作成しました。
たくさんある原稿の中からのたった1作品だけですが記録に残して、これからも多くの方々に読んでいただきたいと思います。
2500分の36ですが、入魂の36本です。夕刊プロレスの名場面集をどうぞご覧ください。
2003年3月吉日
レギュラーコラムニスト |
桃太郎 |
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ひぐらし |
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ヘンリー |
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とび |
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FUZIO |
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中島千太 |
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Joe Hooker |
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ウ乃ぢ |
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mitu |
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37℃ |
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バトルシティー |
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佐瀬順一 |
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まるべ |
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もりもとβ |
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ブランメル |
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アスラン |
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ドリフター山口 |
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とらねこ |
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じっ太 |
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ヒロト |
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ごるご十三 |
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げべぞう |
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青空キュージコージ |
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トラキチマツダ |
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草枕パク |
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DZR |
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ヒグ魔人 |
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omi |
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ラバーソウルみなみ |
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BREEZE |
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eve |
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北の旅人 |
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ウエダハツ |
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momotaro |
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ゲストコラムニスト |
横浜の井崎 |
so_sweet |
■ 夕刊プロレス698号より ■
↑
「プロレスとは、桃源郷なり」
桃太郎
「キド・クラッチ」
先日、部屋の掃除をしていたら、クッキーの缶カンが出てきた。
缶のフタをあけてみると、懐かしい文字の手紙が、ぎっしり詰まっていた。
僕には、16のときから4年間付き合ってきた彼女がいた。
思えば、16の僕なんて、ひどくくだらない男だった。
いったい、あの頃の僕の何が気に入ったのだろうか、本当に不思議である。
そのくだらない僕に、彼女は、とても優しかった。
袖の長すぎるセーターや、指の短い手袋を編んだりという、
ちょっと抜けたところもあったが、まあ、それも彼女の魅力だった。
とても女の子っぽい、女の子だった。
20歳のクリスマスイブに、彼女から電話があった。
別れたいと言い出した。 突然である。 思い当たるふしが、何もない。 僕は混乱した。
わけを尋ねても、好きでなくなったとか、醒めてしまったとか、抽象的な言葉しか出てこなかった。
いったい、何がどうなってしまったのだろう。僕には、彼女を、まっすぐ受け止めることしかできなかった。
「わかった。いいよ」
20歳の僕にできることは、そう言うことだけだった。
何年かぶりに、手紙を手にとって、開いてみる。
鉛筆で書かれていた。
そこには、彼女のひたむきな気持ちが書き綴られている。
僕は、確かに愛されていた。 読んでいて、涙がでてきた。
もし、今の僕なら、こう言うだろう。
「ばーか、何いってるんだ。 働き過ぎだよ、寝ろ寝ろ」
20歳からの僕が、身につけた技術である。 丸め込んで、エビに固めて、
カウントスリーである。
彼女は「やられた」ってな顔をして、リングを降りて行くのだろう。
それだけのこと。 それだけのことなのだ。
あの頃の僕は、ギド・クラッチなんて、知らなかった。
知っていれば、ふたりの人生は、変わっていたはずである。
今夜、彼女は、どこで、誰といるのだろう。
今となっては、もう、知るすべもない。
メリークリスマス。
幸せになっててね。
■ 夕刊プロレス779号より ■
↑
「田舎のプロレス(仮題)」
ひぐらし
***K子とひぐらしのプロレス放談 その5***
ひぐ:いやー死ぬかと思った。
K子:あなた死にかけてばっかりね。だいたい、あなたがこんな早くにタイヤはきかえてんのが悪いのよ。
ノーマルタイヤで山越えなんてほんと自殺行為でしょ。
ひぐ:イヤー無事でよかった。何で今ごろ雪がつもるんだろ、体育館出て雪が降ってるのを見たら
そのまま酒田で一晩釣りでもしてたほうがいいかななんて考えたりして、
最高時速40キロで後続をゆずりながら帰ってきたけど。
あ、今日は3/17みちプロ余目大会の話題をお送りしています。
K子:お送りしてるんですか?
ひぐ:サスケ抜きの第一回シリーズということで、おっととりあえず試合結果を先に、
エキシビジョン 5分
タイガー 時間切れ 薬師寺
○ロン・スー 裏アキレス健固め 瀬野×
○浪花 逆えび固め 藤田×
○浜田 体固め S・ボーイ×
×ヨネ デルフィン ジャーマン 田尻 星川○
K子:人少ないね。
ひぐ:エキシビジョンを入れないと4試合、しかもメインまでずっとシングルマッチ、
今まででいちばんショボイ興業じゃないかな。日本人のみの興業は過去にもあったけど、
それよりも少ない人数だったかな。
観客も少なかったな200人も入っていなかったかもしれない。寒かったしね。
K子:金返せー、みたいな。
ひぐ:いやいや、そうはならないんだなこれが。面白かった。
海援隊がいないから安心して見てられる。
じゃなくて、そうかもしんないけど、いい意味で昔のノリが帰ってきたっていうか、
会場を取りこんだ雰囲気がまた出てきたっていうか、
チャチャチャとか浪花のフーセンが復活したっていうか、
手に汗握るリラックスした雰囲気というか・・・・
K子:ぜんぜんわかんない、あなた物書きやめたほうがいいんじゃない?
ひぐ:リセットという形ではじめた今回のシリーズなもんでストーリー性が何も無いんだよね。
ただ、町にきて、プロレスして終わり。
最終戦でやっと決着が着くなんてのじゃなくて、1大会で完結しちゃってるんだよな。
ほんと、プロレスやってるだけ。それだけ。
K子:ほう、それで?
ひぐ:デルフィンはほんとに初期の形にとりあえず戻そうとしてるみたいだったな。
客とのコミュニケーションも含めた試合の流れとか、技とか。
特に時折出てくるあの速い動きや、あの間の取り方はもうほれぼれするね。
まあ、これを続けていけば動員数が増えるとかってのはなんともいえないけどね。
デルフィンは赤コーナーだし。
K子:青コーナーのほうがいいよね、彼は。
ひぐ:そうそう、あの人は雰囲気からしてルードだからな、
赤コーナーで逆さ吊りキン○マ踏み付け攻撃をやられてもね。パートナーもヨネだし。
K子:最後は星川君がヨネからフォールをとったんでしょう、すごい。
ひぐ:メインで先輩からとれるほどになっちゃったんだね、すごいね彼は。マイクまで持っちゃうし。
K子:初めての人も何人かいるわね。
ひぐ:ロン・スーはなるほど東南アジア・キック系の人だった。
動きがまだこなれて無いような感じで、タックル一辺倒の瀬野との試合は異種格闘技っぽかったな。
藤田はちょっと印象薄いな、でも浪花との気迫のこもったやり取りは好感が持てる。
で、田尻なんだけど、あの人の跳躍力はすごい。素顔でやらせてるのがもったいない。
大日本の選手なんで、師匠のあの二人の雰囲気から、結構落ち着いた試合をする人かと思ったら、
とんでもない、あの速い流れに完全についてってたもんね。お見それしましたチャンピオン。
大日本も次に来たら見に行きます。
K子:今日はべた誉めですね。ひぐらしさん。ただ単にあなたの好みにあってただけなんでしょう。結局は。
ひぐ:そうです。浜田さんも最高でした。やっぱルチャっすねー。
メイン終了後はおひねり飛びまくってたもんな。みんな満足したんじゃないの、今回は。
K子:あなたもおひねり投げてたんでしょう。
ひぐ:俺か?俺は入るときに金払ったよ。
■ 夕刊プロレス126号より ■
↑
「観覧席からのひとり言」
ヘンリー
『熱い女性たち』
このところ、女子プロレスの話題が盛り上がっているようです。
コンバット豊田vs工藤めぐみのデスマッチ,井上貴子vs尾崎魔弓のストリートファイト
とファンを熱くさせるカードがもう間近です。
実は自分は女子プロレスにはかなり前から注目していました。
ちょうど、クラッシュギャルズが引退して少し、下火になりJWPが旗揚げをした頃からです。
その当時はプロレス界は混沌としていて、スター選手が不在の時でした。
時間を持て余し、JWPの試合を後楽園ホールに見に行ったのを覚えています。
当時は風間ルミが完全にアイドルスター選手でしたが、
その頃からキューティ鈴木と尾崎魔弓を自分はマークしていました。
後楽園ホールでは観客はそこそこ入っていましたが、
近くの千葉県や埼玉県の試合では前から2列しか観客がおらず、
もしかすると選手の方が多いのではという試合が何度かありました。
それでも、言葉に表せない何かを自分は感じたのでJWPの試合には足を運びました。
転換期になったのはデビル雅美,神取忍の参加からでした。
やはり、自分のように今のプロレスにどこか物足らなさを感じているファンが多く
会場に足を運ぶようになり、熱気がしだいに感じられるようになっていきました。
キューティ鈴木は当時は知名度が低く、強いレスラーではありませんでしたが、
何か光るものを持っていました。
かわいらしい童顔のわりには根性があり、プロレスは下手でしたが試合での熱意は感じられました。
(この頃は髪がかなり短くて今のキューティとはかなりイメージが違いました)
また、尾崎魔弓は新人離れした技の切れ味を持っており、中堅レスラーとは完全に互角に戦っていました。
『今にこのレスラー達の時代が来る』と勝手に自己満足してましたが、本当にそうなってしまいました。
この熱気というのは長い間プロレスファンをやっていると直感的に感じるもので
「新しさと興奮」を嗅ぎ分ける本能みたいなものです。
自分が感じたのは色気でも、技の凄さでもなくつぶれそうな団体の真剣さでした。
当時はインデペンデントのFMWはなく,
新日本プロレス、全日本プロレス、UWF,全日本女子プロレスしかない時代でした。
どの団体もそれぞれのスター選手や知名度のしれた選手がいたのでJWPはまさに異色の団体だったわけです。
今でこそ「週刊プロレス」でも女子プロレスにそこそこ紙面を設けていますが、
当時は女子プロレスはマイナーな存在、中でも誰も知らないJWPはさらにマイナーな存在でした。
でも、彼女たちはプロレスが好きで一生懸命だというのはファンにはわかりました。
既存のプロレスに飽きてしまった自分にはこのひたむきな姿勢が非常に気に入りました。
個人的にはキューティ鈴木や尾崎魔弓などは化粧をしてヘアーメイクすれば、
こんな潰れそうな団体でレスラーをやるより他の可能性があるのではと考えたものです。
女子プロレスの面白さは技の多様さにあります。男性レスラーに比べ、
身体が柔らかいのと体重が軽いのでいろいろな技が展開されます。
(あのロメロスペシャルも最初の使い手は女子レスラーでした)
男性レスラーにとって危ない角度で落ちても結構、平気だったりします。
今でこそ、なくなりましたが、当時のJWPではボディスラムで直接、
リング下に投げるという荒技をよく見かけました。
(キューティ鈴木はよくこの荒技の洗礼を受けていました)それでも、受け身がうまいのか、
身体が柔らかいのか致命傷にはいたらなかったようです。
(おそらく、今,このような荒技をやるとファンが黙っていないでしょうが?)
この頃からJWPの刺激を受けてか,全日本女子プロレスのファンも少しずつ変化していたようです。
従来の宝塚のノリに近い若い女性ファンからプロレスが好きなファンに会場の空気が変わっていたのを記憶しています。
井上貴子、みなみ鈴香,ブル中野、アジャコング、豊田真奈美といった少し異色なレスラーが頑張りだして、
空気が変わっていきました。
女子プロレスで初めて金網デスマッチを行われたのもこの頃だっと思います。
時代は変わり女子プロレスラーが表紙を飾るようになったり
FMWではメインベイントになったのは当時を知るファンとしては嬉しい限りです。
自分の調べたところ、
日本での女子プロレスのルーツはストリップ劇場の前座というのが最初で認知度は非常に低かったようです。
自分としてはマイナーな存在が成長してメジャーになるのが楽しみです。
長い年月と努力をかけてここまできたわけですから
コンバット豊田vs工藤めぐみのデスマッチ,井上貴子vs尾崎魔弓のストリートファイトは
プロレス史上に残る試合にして欲しいものです。
今まで培ってきたものを守るのではなく新しく歴史を刻むきっかけになるような試合を期待しています。
■ 夕刊プロレス209号より ■
↑
「当方見聞録」
とび
“当方見聞録 その拾四”「寅さん」
寅さんこと渥美清さんが亡くなった。
享年68歳との事である。私が物心ついた時には既に「寅さんシリーズ」の上映は毎年恒例と呼ばれていた。
年に1回ないしは2回上映される「寅さん」を私は劇場では見た事はない。
テレビで何回か見ただけである。
それでも正月、夏休みが近づくとテレビで新作のCMが流れるせいか、縁遠い気がしない。
毎年恒例の風物詩の様な感じだった。渥美清さんの御冥福を祈ります。
新日本の夏の風物詩G1が先日終了した。今年のG1王者は長州力だった。
しかしその話は来週に回し、終了後に飛び込んできたショックなニュースについて触れてみたい。
獣神サンダーライガーが脳腫瘍。しばらくは茫然自失となってしまった。
重症ではないとの事だが、病症は変わらない。手術如何によっては引退の危機である。
私はライガーが好きである。大好きである。
ここ数年は試合内容についてファンから不満の声があがるものの、
ライガーだからこそ上がるのだと勝手に理解している。
誰かが云っていた。新日いや日本のジュニアヘビーは藤波が芽を出し、タイガーマスクが成長させ、
ライガーが花を咲かし、次の世代に実を結んでいくと。
私もそう思う。ライガーは自分の役割がリング上だけでない事をよく知っている。
ファンの事、新日の事、ジュニアの事、これからのプロレスの事。をいつも考えている。
気軽にプロレスを楽しむ時にも、プロレスを難しく考える時でもいつもライガーは私の前に立っていた。
ライガーを毎年1回ないしは2回生で観る事が私のプロレスの基本でもあった。
私にとってライガーは「寅さん」だ。亡くなった渥美清さんではなく、キャラクターの「寅さん」だ。
どちらも毎年同じように我々を楽しませてくれた。
もし、もしもであるライガーが引退となってしまったら…。
駄目だ。思い浮かばない。他の選手がいなくなった場合はある程度想像もつく。
が、ライガーがいない新日、プロレスは考えられない。
こうなればライガーの無事を祈るしかない。
前回の足の怪我の時も祈りが通じたんだ、今回も通じて欲しい。
今回も手術が終わって無事に帰ってきて欲しい。
寅さんも皆が心配しているのにも関らず、ブラリと旅に出てブラリとカバン片手に帰ってくる。
今回ライガーはカバン=ベルトに恵まれなかった。カバンを持っていない。だから長旅にならないだろう。
涼しい顔してカバンを取りに戻ってくるのを私は待っている。
■ 夕刊プロレス168号より ■
↑
「平成回天」
FUZIO
「紫陽花のごとく成り」
季節は梅雨である。
この時期、雨が降り湿度が高くジメジメし嫌悪感を生体構造上抱いてしまうが、
憂鬱と頭痛と雨を楽しむ事ができる季節でもある。
そして紫陽花という世にも謎めいた花が咲く、驚いたのは紫陽花は黙って雨に打たれるだけでなく、
月の裏側のごとくひっそりと炎上する花であった事。
田村のリングスへの移籍が決定した。本人のスタイルへの希望が叶う事はこの世界では稀である。
それだけに我々の彼に対する期待は大きく自身の精神的重圧は並ではなかった事が予測される。
漸く紫陽花が咲いた「前田日明を倒したい」は久々に魅力的な言葉である事に間違いなく感じられた。
そしてUインターがUであった事を証明する事で彼の混迷は解かれ「成る」事が出来るのであろう。
そして、もう一つ。ブラックタイガーのスーパージュニア制覇である。
私は個人的にブラックが大好きである。
彼のファイトは、現在のプロレス界に対する疑問を忘れさせてくれる事のできる数少ないレスラーである。
彼はマスクを脱ぐと異常なまでの紳士で常に周りのレスラーや関係者に気を配っている、
そのブラックの実力はプロレスに興味を示す者であれば文句はないであろう。
しかし、ベルト歴はあるものの、もう一つ日の当たらない存在に甘んじていたのでこの優勝は素直にうれしい。
そして梅雨に咲く事はブラックらしく思えた。
もうすぐ梅雨は明ける。それまでしばし、やっと咲いた二人の余韻に浸って静かに雨音を楽しむことにしよう。
■ 夕刊プロレス185号より ■
↑
「私、疑問を持ちましたのコーナー」
中島 千太
「鈴木みのるは負けたのか?」
パンクラスの福岡大会で、鈴木みのるは新人の近藤有己に判定負けをしました。
試合内容で、完全に近藤が鈴木を押していたそうなのです。
格闘技をする上で、体が小さいと言う事は、致命的な事だと思います。
はっきり言って、鈴木は実力的に「5ヶ月の新人」近藤より劣っていると言えるかもしれません。
今のパンクラスは、新人が多く登場してる訳ですが、
それら全員が船木の教えを受けている様な感じの選手ばかりに思えます。
最近の船木は格闘技的に強くなろうとしていると思います。
この格闘技路線は、船木を輝かせる「個性」になっているんですが、
いざ新人がこれを体得しようとするとあまりにも面白味のない選手になってしまうと思うのです。
パンクラスの中でも鈴木は個性が強く、その個性が発揮した時は会場も沸くのです。
しかし、今の新人選手にこの「個性」がほとんど見られません。試合を観ていても、
「勝つ事」に重きを置いて、自分らしいスタイルで戦う事をしようとはしてないのです。
全員が先生でもある「船木スタイル」なのです。
これでは試合に、味わいを持たす事はできないでしょう。
パンクラスに何を期待するかは、人それぞれ違うと思うのですが、
最近の試合がつまらなくなったと言う事は、誰もが感じている事だと思います。
今回の試合で、観客の心に近藤ではなく、鈴木の存在が残っているのは、
鈴木を今まで見て来たからではなく、感情のある鈴木自身が試合に出ていたからだと思うのです。
それから言えば、格闘技とプロレスの違いは、勝負に対してどれだけ重きを置くかと言うよりも、
試合にどれだけ自分自身を表現するか、の様に感じます。
鈴木が負けた事で、試合が非情な物に見えたとしたのなら、
それは鈴木の悔しさや屈辱的な気持ちが観客に伝わったからなのでしょう。
あの試合からは近藤の勝った喜びはほとんど伝わらなかったのだと思います。
試合では、近藤が勝ちました。
しかし、選手として魅力的だったのは、明らかに「鈴木みのる」だったと思います。
パンクラスは、勝つ為の格闘技と魅せる為のプロレスをもう一度考える時が来たと思います。
変化し続ける事がパンクラスならば、新しい個性的な新人もそこから、また生まれて来ると思います。
■ 夕刊プロレス325号より ■
↑
「Once upon a Time in the Ring」
JOE HOOKER
26本目 ダイナマイト・キッド
「夏草やつわものどもが夢のあと」
おなじみの奥の細道に中の一句,たしか芭蕉がみちのく平泉の中尊寺でうたったものかとおもいます.
この10月両国国技館のみちのくの興行で「夢のあと」をみせてくれた,そう今回はダイナマイト・キッドの登場です.
精彩がなかったとか,ガリガリに痩せていたとかいろいろききますが,わざわざ出てきてくれたんですから,
野暮なこといわないでよ,ってな気もします.
かつてキッドの試合をみて楽しんだり力付けられたりしたんなら,それで十分だ.
今の彼の体は20代を全力疾走した代償なんですから, 生で再び見れただけでもういいじゃないですか.
って私は思います.
同じリングに佐山もマスカラス兄弟も, 加えてサスケもいる.
その風景のなかにキッドがいる.これができるのもプロレスの良さでしょう.
ではキッドの「夢のあと」.
年表風に書いてみます.
79年初夏 初来日(国際プロレス)
期待以上のキビキビしたファイトぶりに評判が集まり,20 歳そこそこの新鋭で,
しかもややマイナーだった国際に参加した割にはかなり話題になる.
79年の夏, カナダ・カルガリーで藤波と戦い引き分け.
80年新春 再来日.(新日) スキップ・ヤング(スウィート・ブラウン・シュガー)
との間で藤波のW.W.F.ジュニアヘビー級王座挑戦者決定戦.
みていて,背筋が寒くなるほどの戦慄を覚えるほとんどセメントの試合で,
最後はロープ最上段からのダイビング・ヘッド・パットでカウントスリー.
藤波とのタイトル戦には敗れる.
81年 初代タイガー・マスクのデビュー戦の相手を勤める.
名勝負数え唄として,人間対人間のギリギリの戦いでまさしく「これが新日だ! 」 .
このころ,「新日の外人で"過激なプロレス" を理解しているのは,スタン・ハンセン,
バッドニューズ・アレン, ダイナマイト・キッドの3 人だけだ.」といわれる.
83年 初代タイガーが,新日を離脱.
84年 このころより上半身の筋肉は異様な盛り上がりを見せる
84年秋 新日を離脱. 新たな戦いの場を全日に求める.
86年頃から88年 W.W.F.に定着.W.W.F.タッグチャンピオンの座に君臨.
89年 全日に復帰. 疲れ顔で精彩なし.
ところが, このシリーズの最終戦の対マレンコ兄弟戦では見違えるようなファイトで大いにファンを沸かせる..
89年6 月 武道館の対ハンセン・ゴディ戦も好試合となる
(以上,パートナーはデービーボーイ・スミス=ブリティッシュ・ブルドック).
90年代 精彩なし.
92年一杯で引退.93 年,96 年秋一試合のみのカムバック.
キッドといえば思い出す場面があります.
80年代初頭, 新日では開幕戦のセレモニーでサインボール投げをするのが恒例でした
(今もそうかもしれませんが,知りません).
シン, ブッチャーといった特別なレスラーを除いては,ファンサービスの一環として,
外人選手も淡々とサインボール投げにこうじます.
ところがキッドは藤波,初代タイガーといったその時点でのライバルをにらみつけ,客席なんか見ていません.
そして,持っているボールを直球でライバルにぶつけたのです.
そのときのキッドのたたずまい,まさしく「シビレルーッ」って感じでした.
今となっては, また夢をみさせてくれる「つわもの」を探す私です.
個人的には,ライガー, サブゥ, サスケ, ペガサス,全日では菊地にキッドの影を探しています.
■ 夕刊プロレス325号より ■
↑
「最狂コラム プロとは何か?」
ウ乃ぢ
「バーリとプロレスは興行上のライバル」
バーリでまたもプロレスラーが負けました。しかも完敗続きです。
でも、これは予想されていたことで、結果自体は別にどうってことはないです。
K1においても、アンディはパトスミにさえ負けてしまったこともあるわけですから。
要は、本気でバーリに取り組むか否かの問題です。
本気でやれば、2、3年で勝てるようになってくるでしょう。
ルールに慣れ、戦い方を覚え、その通りに実行できる心の状態に持っていけばよいのです。
(もちろん、個人差は出ますが)
でも、それにもかかわらず、
私はレスラーがバーリをやることには積極的に賛成というわけではありません。
山本選手等、もはや一個人として、引くことはできないようなケースを除けば、
まあ、無視するのが一番でしょう。
山本選手にしても、プロレスラーというよりプロ格闘技選手といった方が正確ですしね。
負けるから、ではありません。ズバリ、つまんない割にケガをする可能性が大だからです。
バーリで勝てるようになるためには、退屈な試合ができるようにならなければならない、
という事実が存在するのです。
実力が拮抗した選手同士のバーリでの戦いはほとんど膠着状態で時間が過ぎ、
マニア以外には間違いなく退屈極まりないものです。
シャムロックVSスバーン、シャムロックVSタクタロフ、退屈でした。
プロレスは、プロ格闘エンターテイメントです。
エンターテイメントである以上、面白くなくてはなりません。
バーリは、エンターテイメントとして面白くするには、
実力差のあるマッチメイクをすることで、残酷さを際立たせることしか方法がありません。
だって、勝つための戦略は味気ないものですもん。
純粋にリアルな格闘を見たいのなら、きちんとルールが整備された、
強い者同士がきちんと戦える競技を楽しめばいいことです。
極真・相撲・キック・総合格闘技・ボクシングなんでもござれです。
ホリフィールドVSタイソンなんて、最高のリアル・ファイトで興奮しっぱなしでした。
バーリよりもはるかに緊張感があってしかも凄い迫力です。
定着したリアル・ファイトは試合としても面白くなるようにできていますから、ルールもマッチメイクも。
プロレスラーは、自らのやっていることに自信をもって欲しいものです。
プロレスって捨てたもんじゃないです。八百長だの、仕掛けの趣味が子供騙しだの、別にいいじゃないですか。
プロとして、客を惹きつけるだけの技量を持ってさえいれば。
自らのプロとしての技量に自信があれば、バーリとは興行としての競争相手に過ぎないわけで、
対戦相手ではないことは自明でしょう。
やる必要なんかなく、無視して、興行としてどっちが客を集められるか競争すればいいんです。
ただ、問題は総合格闘技団体の方でしょうね。
プロレス以上に競合しますからね。
それでも、興行として、どちらが魅力的かを競う戦略をとるのも一つですね。
つまり、無視してもいいと思います。ただ、心のどこかでプロ格闘家には、
バーリでも勝って欲しい、という願望が私の中にあることは否定できませんが。
バーリは、総合格闘家(シューティング・骨法・大道塾・山本?)に任せて、
プロレスラーは、いいプロレスをしてくれることに専念して欲しいですね。
武藤VSオターピオを見て、こんなんだったらやらん方がいいと思いましたもの。
試合としては面白くなかった、この一点に尽きます。
プロレスはもっと面白いものの筈です。
最強幻想に振り回されず、自分のやっていることに自信をもてるような試合をし続けて欲しいものです。
獣神サンダーライガーやザ・グレート・サスケのように。
プロ格なんてクソ食らえ!! プロレスはプロレス、格闘技は格闘技です。
ターザンと猪木の亡霊に振り回され過ぎじゃないでしょうか?
■ 夕刊プロレス369号より ■
↑
「語ろう! プロレス」
mitu
第14回 「大田区体育館」
1983年の秋。友達から、タダ券があるから一緒に行こうと誘われ、
生まれてはじめてプロレスを観戦した。新日本の大田区体育館大会。友達と自転車を走らせて会場に向かった。
その日のメインは猪木・藤波・前田VS長州・浜口・谷津だった。
「スパークリング・フラッシュ」と呼ばれていた前田の豪快なニールキック。
きびきびとした浜口の動き。凱旋帰国してすぐ正規軍を裏切り、維新軍に入った谷津に、
手も足も出させない気迫の猪木のファイトが今でも印象に残っている。
ノーテレビの大会だったが、超満員の観衆を引きつけて、熱くさせた猪木は素晴らしかった。
当時、週刊化されたばかりの「週刊プロレス」に、藤波のコメントが掲載されていた。
大田区体育館は新日本プロレス旗揚げの地。
「ここにくると、なんだか気が引き締まるし、当時のことを思い出すよね」。
タイガーマスクの離脱のショックを吹き飛ばすような強烈な戦いを見られて、本当に幸せだった。
そして1997年。1月27日に新日本が大田区体育館にやってくる。
しかし、私はいこうとは思わない。いってもがっかりするのが目に見えているからだ。
3年前の1月。大田区大会を観戦した。メインは確か10人タッグマッチ。
でも、試合内容より、その直前に急逝したアンドレの追悼の10カウントの方が印象に残っている。
試合そのものは地方大会独特の顔見せの興行だった。
2年前の1月の大田区大会も観戦した。メインは確か6人タッグマッチ。
ひいき目に見ても7割ぐらいの入り。いわゆる「流す」興業であった。
はい、ラリアット出しました。得意技出しました。
そして、やられるべき人が、10分ちょっと過ぎるときっちりとフォールを取られ、淡々と興業が終わる。
これでは、地元から、いい加減なめられる。
私は、もういくら近所でも新日本の大田区大会に行く気にはなれない。
昨年、週プロが新日本から取材拒否をくらったとき、
ターザン山本が「新日本は地方で手を抜いている」と書いたが、確かに当たっているなと思う。
しかし、取材拒否にあってからそういうことを書くターザン山本のやり方は、汚い。
どうせなら、取材拒否にあう前に堂々と書いてほしかった。
さてこの1月、大田区体育館では、もう一つプロレスの興業があった。
全女である。全女は大田区大会で井上京子VS井上貴子の「三冠統一戦」を組んできた。
同じ日に大阪で全日本が本家の「三冠戦」を行われたため、東西で二つの三冠戦が組まれたことになる。
また、全女のにくいところは、三冠発祥の地・大田区体育館でこのカードを組んできたことにある。
1989年1月。
全日本の大田区大会のジャンボ鶴田VSスタン・ハンセンで三冠統一の偉業が達成されているのだ。
ファン心理の嬉しいところを、全女フロントはくすぐってくれる。
全女は、大田区大会で、多くのドラマを見せてくれている。
ジャガー横田の引退。長与と神取の遭遇。
FMW女子の乱入から壮大な交流戦へ......。女子プロレス界の歴史のエポックメーキングとなる地。
大田区体育館を意義ある会場としてくれることは、ファンとしてだけでなく、
地元の大田区民としても非常に嬉しい。
創立の地を、「流して」通り抜けていこうとする新日。ポスターや、
割引券などを精力的に配り、地域に密着した上で、最高のカードをもってきた全女。
一見の客の多い地方大会でのこうした細かい取り組みの差が、後々大きな差になってくるはずだ。
いつまでも色あせない闘魂を見せてくれた猪木。「昔を思い出すね」と笑顔で語った藤波。
今の新日本にはそういう精神はなくなってしまったのか。
■ 夕刊プロレス268号より ■
↑
「大人プロレス」のススメ
37°C
vol.30 「大人プロレス」開眼前夜、僕の身に起きた、ほんの些細な出来事
「音楽を聴いて泣いた事はある?」
彼女との出逢いは、一本の電話だった。
いつもと同じ夕暮れ、退屈な夕暮れ、「おめでとうございます!」と、ダシヌケに。
どうせ英会話テープか何かの販売だろう。
言っている事は、みな同じだ。語尾の「てにをは」が違うくらいだ。
ひとつだけ様子が違うのは、妙にオドオドとした話しぶり。
「どうしても逢って頂きたいんです。今日中にひとつでもアポを取らないと−」。
受話器の向こうから聞こえる「万歳三唱」。
冷たく言い返す。「でも、買わないよ」。
その頃の僕は、大学生で、友人と二人でコンビを組んでいた。
我々の主な活動内容は、
普段テリトリィとしている食堂のテラスの端の席に友人・知人を呼び出して、ディスカッションの末、
ことごとく論破するものだった(ゆえにそこは「論破ールーム」と呼ばれ、怖れられた)。
それにより多くの人間が、当時学内に蔓延し始めた「人格形成セミナー」や、
「大して仲良くもないのに選挙の時だけ電話をかけてくる宗教」の魔の手から救われた。
ゲームのようなモノだ。決して同情したワケではない。僕には付き合っているカノジョがいた。
当然、下心もない。でも・・・・「可愛ければいいな」と思った。
駅前で待ち合わせをした彼女は、信じられないくらいに小さくて、
男の子のように痩せていて、貧相に見えた。近くのコーヒーショップに入ると、
さっそく彼女は営業マンが持つような四角い鞄から資料を取り出してみせた。
「だから、買わないって」。
「プレゼンテーションをやってみるので、見ていて下さい。
私どうしても契約が取れないんです。おかしなトコロがあったら教えて下さいね」。
背中がくすぐったくなるような感じがした。
それでも真剣な彼女の表情に、いつの間にか、引き込まれていた。
仕事の話が一段落つくと、それから僕たちはお互いの事を話しはじめた。
彼女は音楽が好きで、自分もギターを弾いている、と言った。
僕はギターに抱かれる彼女の小さな体を想像して、笑った。
大好きなギタリストの写真を見せてくれて(それは僕の知らない人だった)、
夢はアメリカへ行って彼に逢う事だ、と言った。
冒頭の台詞が出たのはその時である。
身振りを交え、自分の愛しているものがさも大事だといった風に、
そして、その魅力はどれだけ言葉を並べても伝えられないのではないかともどかしげに、言った。
「だって・・・・ねぇ・・・・音楽を聴いて泣いた事はある?」
今度は僕から皆さんに聞こう。
「皆さんは、プロレスを見て、涙を流した事がありますか?」
僕は「ある」。何度も「ある」。
なかでも想い出深いのは今をさかのぼる事十数年前、
アントニオ猪木対国際血盟軍のハンディキャップマッチだ。
国際プロレス崩壊後、
新日本プロレスに流れ着いたラッシャー木村・アニマル浜口・寺西勇の3人は、
つとめてヒールであろうと努力をしていた。度重なる乱入に、凶器攻撃。
とうとうアントニオ猪木の堪忍袋の緒が切れて、
「1対3」で決着をつける事になった・・・・という流れだ。
もちろん今なら違う。
「大人プロレス観」に基づき、展開と結末を予想して、安心して観る事が出来る。
だが、当時は違う。
小学校すら卒業していなかった僕は、事前から心配で夜も眠れず、
手に汗を握りながら勝負の行方を見守っていた。
いかに「小兵」である2名を擁した「国際血盟軍」とはいえ、
キャリアも充分にある立派なプロレスラーだ。
しかも「ルール無視」が黙認される「悪役」ときている。
3人から容赦なくいたぶられるアントニオ猪木だが、それでも浜口、寺西と退けてみせた。
残るは「大将・ラッシャー木村」、ただ一人である。
ところが猪木の体には、もう微塵のスタミナも残されてはいない。
やられても、やられても、それでも立ち上がるアントニオ猪木。
TVの前の応援にも力が入る。奇跡を信じ、神に祈った。
その時−。とうとう猪木が力尽きた。
エプロン際、ロープの隙間からリングに入ろうとした猪木に、
ラッシャー木村の強烈なラリアットが襲う。
セカンドロープとサードロープの狭間に足を取られたまま、体はさかさまに場外へ向けて落ちる。
情けなくもがき苦しむも、磔にあったまま、猪木は非情の「20カウント」を聞いた。
猪木が教えてくれたのは憎しみじゃない。
「勇気」だ。やられても、やられても立ち上がる勇気だ。
セコンドたちによって刑をとかれる猪木の姿が、涙でにじんで見えた。
「明日もがんばろう」。
何か辛い事があったわけではない。
それでも「がんばろう」。とにかく「がんばろう」。
何か・・・得体の知れない熱い何かが、細胞の隅々まで行き渡るのを感じた。
そんな話を、つい、彼女にしてしまった。
初対面で、いきなり、プロレスの試合で涙を流した子供の頃を切々と語る僕を、
いったい彼女はどう思った事だろう。
それから我々は、たびたび電話で連絡を取り合う仲になった。
一度、友人に「女の子を紹介してくれ」と言われて、彼女の合意を得た上で、彼女を紹介した。
友人は彼女の自宅の電話番号を聞く代わりに、契約書の控えをもらって帰ってきた。
彼女にはそれが、最初で最後の契約だった。仕事を辞め、実家に帰った後は連絡を取っていない。
今でも元気にしているだろうか。相変わらずギターに抱かれ、その音色を楽しんでいるだろうか。
そして、憧れのギタリストには逢えたのだろうか。
なんだっていい。幸せに暮らしていればそれでいい。
−Fin−
■ 夕刊プロレス409号より ■
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「俺はプロレスが好きなんや」
バトルシティー
「プライド」
今週から、隔週火曜日にコラムを書くことになったバトルシティーです。
まだまだ文章力、知識等甘い面もありますが、よろしくお願いします。
さて、今回は、選手のプライドについて考えてみたいと思います。
僕がプロレスを見始めた15年くらい前、もしくは、ビデオで見た昔の一流選手同士のシングルマッチ。
例えば、アンドレvs猪木、ブロディーvs猪木、坂口vs前田などなど、
リング上できっちりと勝敗がつく試合は、少なかったと思います。
これは、選手のプライドを守るためやと思います。
んでも、最近はそういう試合がめったに見られません。
ノーコンテスト、両者リングアウトなどの試合が本当に少なくなってきました。
僕の記憶では、UWFが出てきた頃くらいからやと思います。
これは良い傾向やと思います。これを是非続けてもらいたいと思います。
選手のプライドという話題ついでに、僕の好きなKー1の事を少し書かせてもらいます。
Kー1の魅力はなんといっても1vs1の真剣勝負です。
まさに「All Or Nothing」という表現がぴったりと当てはまります。
特に、ホーストvsバンナ、ベルナルドvsアーツなどは、その典型でしょう。
そういう意味で、僕が今一番期待しているのは、アーツvsフグです。
お互いプライドを賭けたすごいどついあいが見れらそうです。
で、プロレスの方に話を戻すと、猪木です。
なんか猪木ってカウントダウンと表して、
自分のプライドを守ることばかりやっているように思えません?
海賊男?なんやねんそれはって感じです。
ドリーファンクジュニア?何で今更?
ドームでは橋本と長州のプライドのぶつかりあいが見られました。
(その後の引退しないよ発言には?マークがつけられますが)
猪木も、はよ橋本と男と男の意地を賭けたものすんごい勝負をして欲しいと思います。
■ 夕刊プロレス503号より ■
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「プロレスクエスト」
佐瀬順一
〜第2章〜 タイアップ大作戦でしょ
現代のプロスポーツ界はNIKEナシには語れない。
NIKEはマイケル・ジョーダンや野茂英雄らと独占契約を結び、
その選手のオリジナルシューズ(=シグネチャーモデル)を製作、販売できるのが強味。
最近ではタイガーウッズともウェアなどの独占契約を結び、話題になった。
大物スポーツ選手と契約すれば話題になるし、
シグネチャーモデルはその選手の人気と比例するように売れる。
それでもエアマックスがン十万まで跳ね上がった頃に比べると、
現行の97年モデルは今ならほぼ定価で買える。
まあNIKEブームもひと息ついたといったところか。
そこへ他のメーカーとは一線を画したデザインやカラーで、
ウェア、スイムウェア、シューズのどれもが安定した人気を誇るFILA。
このFILAが今後、ポストNIKEの座に就くのではないかと私は密かに思っている。
あの小室哲哉も華原朋美とお揃いで愛用していたそうで、
そのFILAがウェアを提供している新日と、田村と山本がイメージキャラに選ばれたリングスは、
もっとこのおいしいネタ(FILA)を生かすことはできないもんか
(あっパンクラスのリングにもFILAのマークがあったな)。
できることならシグネチャーモデルの販売までいきたいもんだ。
しか〜し今注目のアイテムはNIKEよりも、たまごっちよりも、
カシオのG−SHOCKだ!
要は腕時計なのだが、少量しか生産されない限定モデルが何種類もリリースされるのが人気の秘密だ。
また最近ではG愛好家の奥田民夫やPUFFYといったアーティストが
ネーム入りのオリジナルGをノベルティとして、コンサート会場でのみ販売した。
これはそのアーティストのファンはもちろん、
Gコレクターにとってもレア度の高いアイテムになっている。
実においしい話じゃないか!
レスラーの間でもG愛好家は多い。
そのゴツくてタフな造りはレスラーの太い腕にピッタリだ。
そこで団体ロゴやネームの入ったオリジナルGを作ってもらって、
試合会場のみで販売するというのはどうだろう。
これはかなりレア度が高いモノになるぞ!
Gのレアものともなれば、いくら試合会場でのみ販売といっても、
Gコレクターもかなりの数ゲットしてくるだろう。
パソ通の掲示板を見ても、Gに関する掲示へのアクセスは短い時間でかなりの数におよび、
巷ではレアものを探して若者が時計店を右往左往している。
もし団体側から売り込んで、このタイアップが実現するようなことになれば、
そのGやFILAのプロレスモデルはストリート系雑誌を中心としたメディア
で取り上げられて話題になるのは必至!
プロレスファンがこれらを身につけるようになったり、
プロレスファンとGコレクターの間で、情報交換や商談が行われるなんてなったら最高に面白い!
プロレスファンもGについて勉強する必要が出てくるだろうし、
そうなれば一気にプロレスファンのセンスも、周りからの印象もアップすること間違いなし!
なのに「靴や時計に1万も2万も出してられないし、そこまでしてほしかない」なんて言って、
レスラーのキャラクターTや女子レスラーのヌード写真集を買いあさってるプロレスおたくは、
とっとと時代から取り残されてなさい。
でもこのFILAとGも含めて、
プロレスにタイアップでいろいろ提供してくれる企業を探すのは厳しいだろうな。
なぜなら今、プロレスで商売するには非常に難しい状況だから……。
■ 夕刊プロレス868号より ■
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「まるべのひとり言」
まるべ
No14「社員旅行」
みなさん、こんにちわ。まるべです。
本題とは全く関係ありませんが、私には3歳(8月で4歳)になる息子がいます。
子供とはいえこれくらいになると、物事の判断とか行動とか言葉とかいうのは、
善悪は別にして、子供なりに考えているようです。
彼の一番のお気に入りはウルトラマンダイナです。
なぜか怪獣が好きです。
ウルトラマンの戦う場面になると興奮して私にむかってきます。
そしてパンチ、キックを繰り出します。
ご存知のとおり、ウルトラマンは着ぐるみです。
怪獣もでっかいぬいぐるみです。
動きはそう派手ではありません。
よっぽど、ジュニアヘビーの飛び技とか橋本の蹴りとかの方が、見栄えがいいと思いませんか?
そして我が家ではウルトラマンと同じようにプロレス放送が流れます。
でも息子はプロレスには見向きもしないのです。
なぜなんでしょう。
一度三沢のエルボーと言ってエルボーを教えたのですが、
やはり数日で飽きてしまったようです。
子供にはやはりプロレスは難しいのでしょうか?
好きなものに対する子供の記憶力というのは素晴らしいものがあります。
プロレスの技を即座に答える子供っていうのも、マニアックでいいと思いませんか?みなさん。
ちょっと脱線しましたが、表題の社員旅行です。
私の会社は年に1回、社員旅行があります。
会社から一部補助は出ますが、ほとんど自腹での旅行です。
1グループが7,8人でそれぞれのグループで行き先を決めます。
一応レジャー関係の会社なんで、行き先もリゾート地とか遊園地とか、そんな感じです。
数年前の社内旅行の事です。
7月、行き先はディズニーランド。
せっかく東京に行くんならと思い、首都圏のプロレスの日程を確認。
残念ながらプロレスはやっていなかったのですが、「ヴァーリトゥードジャパン」
が丁度その日に行われていたのです。
場所はディズニーランドのすぐ隣、ベイNKホールです。
それまでは、グレーシーとかシュートというのは、
そう興味があったわけではありません(雑誌で読むくらい)が、
なかなかヴァーリトゥードなんか見るチャンスはないだろうと思いチケットを購入したのです。
ちょうどアメリカでのアルティメット大会が落ち着いて、マウント、
ガードポジション等が言われ出したころでした。
メインはホイラー・グレーシー対朝日昇。
グレーシーが始めて負けるのではという前評判だったが、
理に適った攻めでホイラーの勝利でした。
どの試合もプロレスとはちょっと違った雰囲気と緊張感で、
満足の行く観戦だった事を思い出します。
この話には続きがあります。
試合を見た翌日はディズニーランドで楽しみ、
どこかは忘れましたが、オフィシャルホテルに泊まりました。
で、九州へ帰るその日の朝の事です。
朝食を食べてぶらぶらしていると、ごつい外国人が何人もいるのです。
そう、ヴァーリトゥードジャパンに出場した選手達がこのホテルに泊まっていたのです。
そうこうしていると後輩が、
「あの人、ヒクソンなんとかっていう人じゃないですか?」と言ってきます。
そこには、昨日の試合で勝利したホイラーはもとより、ヒクソン、
そしてグレーシー一家とおもわれる6人ほどが食事をしていたのです。
(ちなみにヒクソンは前年度のこの大会の優勝者とかで、
挨拶と弟のセコンドとしての来日だったようです。)
私と後輩はすかさずカメラと試合のパンフを持って出口で待ち伏せです。
出てきた。
すかさず「ピクチャー、プリーズ」ヒクソンとホイラー、
それぞれの2ショットの写真を撮りました。
ホイラーはパンフにサインもしてくれました。
待っている間は後輩と「いきなり殴り掛かったら、かわせるんだろうか。」
とか結構強気であったのが、本人を目の前にするともう、それは感動もんでした。
ホイラーにサインをもらっている時に「アイ・ルック・ユア・ゲーム。
ユーアー・グッドファイト・アンド・ベリーストロング」
とこのような感じで会話を試みたところ「サンキュー」と返して、力強い握手をしてくれた。
私は中学校レベルの自分の英語が通じたであろう喜びと、
400戦無敗の男とその弟とあえた感動でいっぱいになりました。
この写真は今でも会社の机に飾ってます。
さて今年の社員旅行は7月13日〜15日、北海道は札幌です。
そう、新日本プロレスです。
チケットぴあでチケットも手に入れました。
いまから楽しみにしてますが、自由行動をとれるかが問題です。
では、また。
■ 夕刊プロレス985号より ■
↑
「燃える火曜日 プロレスあらかると」
GK.もりもと
[憶測の細道 K−1の欽ちゃん化計画]
「K−1」はフジテレビの独占契約。
だが「K−1JAPAN」の中継権は日本テレビが獲得。
TBSは深夜枠ながら「UFO旗揚げ戦」を放送。
と、偶然手に入れた週刊ファイト9月17日号に載っていた。
そんな記事に目を通していたら、“あること”を考えた。
それは「K−1のメディア戦略は“とんねるず”のメディア戦略と似ている」
のではないか?ということなんです。
説明しますね↓
欽ちゃんを知っていますか?知ってますよね。
欽ちゃんは以前にフジテレビで「欽ドン」テレビ朝日では「欽どこ」そしてTBSで
「欽ようび」という月〜金に3本のレギュラー番組を持っていたことがあります。
放送開始時刻はすべて夜の9時から。
つまり、ゴールデンタイムだったのです。
欽ちゃんが去ったあと、この「月〜金の夜9時代に3本のレギュラー番組」を
目標にした芸能人がいます。
それが“とんねるず”だったのです。
名称は「とんねるずの欽ちゃん化計画」その後はご存知のとおり、
放送局こそ違いますが週3本のレギュラーを持っています。
正道会館の石井和義館長。
自分は詳しく知らないのですが、メディア戦略に優れているなら
“もっと上を見るのではないか”と、思うのです。
つまり石井館長が、地上波2局と契約しただけで満足するのだろうか?と、いうこと。
「とんねるずの欽ちゃん化計画」のように、
もう1本を民放で放送する“欲”もあるだろうと・・・。
「何を放送するんだ?」と言われるでしょうが、あるんですよ。
「K−1JAPAN」の下にもうひとつ大会をつくって放送すればいい。
まぁ、メジャーリーグでいえばマイナーリーグの下クラスの試合を放送する。
リングスで言えば“リングスアマチュア”の試合を放送するようなものと考えればいいでしょう。
これは今後のK−1自体を底上げするにも役立ちますし、
民放にとってはK−1という看板で視聴率も稼げます。
−もし、放送するとしたらどこの放送局か?−
TBSはUFOだからねぇ。
残っているという意味も含めて・・・。
そうですねぇ、“テレビ東京”ですかね。
ここの局はスゴイですよぉ。
昔なんかスタジオが2つしかないからTBSのスタジオ借りてたり、
ロッキード事件の時は他局が生中継バンバンなのに対し、
テレ東は「トムとジェリー」(アニメ)の放送中にクレジットで
「田中角栄に有罪判決」だけだったし「天才バカボン」の再放送で高視聴率とったり、
名称を「東京12チャンネル」から「テレビ東京」に変更するときにTBS(東京放送)
からクレームがついたり、他局が選挙特番の中で「男子バレーボール 日本VSアメリカ」
の放送で視聴率狙ったり、「極める(人間国宝モノ)」という番組で低視聴率を極めたり、
マイクタイソンの試合を1時間番組の予定で編成したのに、
試合が5分もしないうちに終わって困ったりしている。
早くからジャニーズ絡みの番組を始めているし土曜日だけの競馬中継。
プロ野球二軍の祭典、ジュニアオールスターも放送したりする。
そんなテレビ東京なら、3つめの「K−1」でも喜んで放送するだろうと思うんですけど・・・。
もし実現したらスゴイよぉー、笑ってくれ。
まぁ、あくまでも憶測ですからご勘弁を(^-^;)でもそんな気がするんだよなぁ
[by the way −ところで−]
それにしてもUFOってなんだろう?
個人的には新日に対抗する団体として設立したと思っているんです。
もちろんUWF同様、放映権による利潤の追求もあるでしょうが・・・。
猪木だって新日のことを考えやっているのでは?
それにしても、もうすぐUFOの旗揚げ戦ですよね。
この書き込みが掲載されるころには出場選手も決まって、マスコミが騒いでいるでしょう。
楽しみです。
また、リングネームを「GK.もりもと」から
「UFO.もりもと」に改名しようかな(夕プロジョーク)
[余談のコーナー]
「おれたちT.I.M」知ってます?
ゴルゴとレッドが組んでる人文字コンビですけど、
これをUFO特集でも有名になった「マサセチュー工科大学」の学生がやると
「オレタチM.I.T」で面白いと思うんですが(微笑)
<マスクド一撃発行、朝刊プロレスのホームページ>
◇「朝刊プロレス」 http://homepage3.nifty.com/asa-pro/
■ 夕刊プロレス967号より ■
↑
「プロレス随筆」
ブランメル
アメリカンプロレス観戦の旅 「生きていく、ということ」
「あ、危ないよぉ。」
ヨチヨチ歩きの幼子を心配そうに見守る彼。
その優しい眼差しや話しぶりは、その日の大観衆の前では見れなかったものだ。
ましてや、日本の会場では、いつも不機嫌そうにしていた彼。
この店が、彼や同僚たちのオアシスなのだろう。
夜中なのに幼子が数人と奥さんとおぼしき人達がいた。彼の家族だろうか。
いや、同僚の家族だ。幼子は、彼の子供ではないようだ。
まだまだあどけない顔をしている。実にかわいい。
海援隊がみちのくプロレスを離れて、しばらく経った。
彼らが、どんな試合をしているのか、実に興味深かった。
8月30日、マジソンスクエアガーデンの大会で、彼らの試合は2試合目。
4人に対して、体が大きい3人の選手が相手だった。
彼らのWWFでの試合は、ビデオでも見てはいなかった。
が、その試合といえば、残念ながら、予想通りだった。
彼らの体の小ささ自体が、白人たちの嘲りの対象になっていた。
客に媚びたり、オーバーアクションで相手を怖がるTAKA。
観客の喜怒哀楽を誘っていた。
他のメンバーも、ドタバタした面白おかしいプロレスをしていた。
1試合しか見ていないが、観客の反応を必要以上に気にしているのが痛いほど分かった。
みちのくのリング上で見せていたのは、ある意味で客を突き放した反則ファイト、
ルチャ独特の明るく楽しいスタイルを否定する激しいファイトだった。
本当は、アメリカでこんなこと、したくないんだろうな。
TAKAなんか、パンクラスにも出たし。
ため息をついて、ピンク色の座席にどっかり腰を落ち着けた。
気がついたら、4人が相手1人からまとめてフォールされていた。
観戦後、同行したK君たちと食事に行った。
そこで目にしたのが、仕事を終えて食事にやってきた彼らだった。
妻や、子供達をかかえる者もいる。
守らなければならないし、食わせていかなければならない。
とにかく、生きて行かなければならないのだ。
ヨチヨチ歩きの、幼子を見たら、ファイト内容なんて、誰が責められようか。
ただ、彼らにとっては、観客に対するサービス精神の大切さは、身にしみて分かったと思う。
一回りも二回りも大きくなって、みちのくにかえってきて欲しい。
食事を終えて、ホテルまではタクシーで帰った。
たまたま助手席に座ったのだが、運転手はパキスタンから来た運転手、ということは分かった。
が、それ以上は訛りが強くてよく話が分からなかった。
親しげに、盛んに話しかけてくるのだが、
Sorry ,I can't understand......この人も、必死に生きているんだなぁ。
もう、夜中の2時過ぎか。
■ 夕刊プロレス991号より ■
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「絶 対 零 度」
アスラン
1−10 踊れ、タンゴだけ。〜高田延彦に捧ぐ/
漁師の町に鮫が揚がった。
鮫は無敵であったはずの上顎に太い鉤をひっかけられ、朝日を背に吊されていた。
天から落ちてきた巨大な剣が、地面に深々と刺さっている様を思い起こさせた。
体長が5メートル近くあるシュモクザメだった。
シュモクザメは英名をハンマーヘッド・シャークという。
文字通り頭部がハンマーのような形をしており、その両端の離れたところに目を持つ、
神の造形の不思議さを感じさせる奇妙な形の生き物だ。
この鮫はホオジロザメと並んで狂暴なことで知られており、
毎年ダイバーなどに何人かの犠牲者がでる。
まあ、「奇妙」とか「狂暴」とかいっても、
それは人間からみるとそうなのであって、鮫にしてみれば迷惑な話だろう。
いずれにしてもシュモクザメにとって人間は時として「獲物」になる。
シュモクザメの生息地域は世界中の熱帯、温帯海域に亘っているので、
スリランカの南西に位置するニゴンボでみかけても不思議はない。
しかし、現地の漁師は鮫を食べない。ましてシュモクザメの肉は、
鮫独特のアンモニア臭が強くて食用には適さない。
それではなぜこの鮫は捕らわれたのか。
それは復讐のためであった。
ある日漁に出た男が帰ってこなかった。
やがて浜に男の右足が流れ着いた。
そこで村中で鮫を狩りだしたのだ。
実際にその男が鮫に食われたのかどうかは分からない。
しかし、巨大なシュモクザメが捕まり、半ば生きながら、
徐々に強くなる日差の中、こうして曝されている。
私は近づいて鮫を見上げた。
そして私は星をみた。
彼の、と呼んでいいものか、濃い灰色の背中に、縦長にゆがんだ星をみた。
私はこの星を知っていた。
私はこの鮫を知っていたのである。
あれは3年ほど前だろうか、モルジブの南マーレ環礁の近くで私はこの鮫に出会っていた。
私はその時水の中にいた。
人間は水の中では自由に動けない。
呼吸すらできない。
こうして不格好な器具に体を包み、
自分が生きている世界の環境を自分の皮膚の回りに作り出し、
そうまでしてどうしてなのか水に潜る。
水は人を重力から開放する。
ゆっくりとだが人は水の中で飛ぶことが出きる。
水底が地面のようになり、自分が空を滑空しているような錯覚を感じる。
そこで私は、星をみた。
大地と空の間をゆっくりと動く雲のように、白い星が流れていった。
しかし水底に星があるはずもない。
それは背中に白い斑を持つ巨大なシュモクザメが泳ぐ姿だった。
水の中では屈折率の関係で物が1.5倍に見える。
頭では分かっているのだが、それでも彼はとてつもなく巨大だった。
鮫が水中の人を襲うことは少ない。
襲われるとすれば、水面を泳いでいるときが多い。
その意味では鮫は今の私にとって危険な動物ではなかった。
しかし、もし彼が飢えていたら?もし彼が手負いだったら?
私の動きが彼の癇に触ったら?決めるのは私ではなく彼であった。
私が彼のリングに乗り込んできたのだから。
止めようにも止められないレギュレーターの息を吐き出す音が私には恨めしくひびいていた。
もしここで彼の頭の中に私には理解のできないゴングが鳴り響いたらどうだろう。
彼はその強力な尾の一振りでたちまち私に追いつき襲いかかるだろう。
水の中で獲物を引き裂くためだけに磨いてきたその巨大な顎で。
それではその時私はどうするのか。
逃げる?どうやって。
この巨大な水圧を羽のようにすら感じずにしなやかに泳ぎ回る生き物からどうやって。
蹴る?殴る?ばかな。
殴っても蹴ってもあたらないだろう。
その前に確実に彼は私の足を噛みちぎる。
あたったとしても水の抵抗でスピードを殺されたパンチがその巨体にどんな効果を持つというのだ。
ここで戦うのに必要なのは、自由に泳ぎ回ることの出来る筋肉と強力な顎だけだ。
ここは彼のリングであり、彼のルールで動いている世界だ。
この世界で勝つためにはこの世界で勝つための方法がある。
漁は、だから領土と領土の責めぎあいである。
彼の世界とこちらの世界での綱引きである。
そして自分の世界に引き込んでしまえば、勝負は事実上ついてしまう。
始めから相手の世界にいたのでは勝てるはずがないのだ。
その背中に星を持ったシュモクザメはこうして陸で見ても巨大だった。
しかし私達の世界で、彼は完全に無力だった。
空気を吸っても彼は息ができない。
空気をかいても彼は進むことができない。
もう彼の速さを、彼の顎をおそれる必要もないのである。
わざわざ近づき、その中に頭を突っ込みでもしなければ、彼に殺されるおそれは全くない。
「相手がタンゴが好きならタンゴを、ジルバが好きならジルバを」
といった人は勇気のある人である。
本当のプロレスラーである。
しかし、相手がダンス以外の何かを望んだ場合、どうしたらいいのだろう。
それがチェスだったり、ポーカーだったりしたら。
あるいはあなた知らない何かだったりしたら。
かつてプロレスラーが異種格闘技戦で強かったのはトリックであった。
自分のリングに相手を引き込んだからこそ勝てたのだ。
しかしアルティメット戦でグレーシー柔術が強かったのはトリックなのだろうか。
それは確かにそのとおりである。
グレーシーの世界にはグレーシーの戦い方がある。
グレーシーの世界で戦えばグレーシーは強い。
では、どの世界にも普遍的な絶対的な強さとはなんなのだろうか。
私にはまだその答えの準備はできていない。
しかし、町で起こりうる素手での1対1の喧嘩に近いのが、
今のところグレーシーのルールであるということに異論ある人は少ないだろう。
動物に近い、食うか食われるかに一番近いのはグレーシーなのだ。
高田は敗れた。
グレーシーの世界に入って、戦い破れたのだ。
始めから勝ち目のあるはずのない勝負だった。
残念だが本当だ。
■ 夕刊プロレス878号より ■
↑
「リングシューズ」
ドリフター山口
「タイトルどうりリングシューズ」
デビュー戦、読んで頂けたでしょうか?
まさか載るとは思っていなかったのでびっくりしました。
送ってからゼンゼン載らなかったので、当然ボツ≠セと思いましたョ。
もう、よろこんじゃいました。
さて、前回の中途半端な終わり方をした「デビュー戦」(本当にまとまりがなく、
自分で読んでてもはずかしかった)に続く第2回は、
前回の予告どうりタイトルの「リングシューズ」についてです。
まず、なぜタイトルに「リングシューズ」とつけたかというと、
私は昔からリングシューズが好きなんです(変態ではありません、あしからず)。
レスラーを見る時に最初にシューズを見ます。
初めて見るレスラーなどは、シューズを見るとファイトスタイルがわかったりしますよ
(そうとも言えない時も多々ありますけど・・・・・)。
ラフファイターなのか正統派なのかはだいたいわかります。
最近はアマレスシューズにレガ−スというスタイルが多いですが、
そのスタイルのレスラーが反則攻撃などはあまりしませんもんね。
いなくはないのですが、蹴り主体のレスリングをする人がほとんどです
(デルフィンはレガ−スつけて反則やっていたけど・・・)。
それはそれで試合自体はおもしろいのですが、
なんかキャラクターがなくなったような気がしませんか?
レガ−スが出てくるまでは、リングシューズもいろいろありましたよね。
ブロディの毛皮のシューズ、ブッチャーの凶器シューズ
(引退してないのでまだあります)、カブキの地下足袋(これはハヤブサが今でもはいてます)
など数えたらいろいろありましたよね。
裸足≠フレスラーもいましたョ。
そういう意味ではリングシューズを見るのも楽しみのひとつでした。
ところが、最近のレスラーを見ていると
右も左もアマレスシューズにレガ−スというスタイルではありませんか?
先に蹴り主体のレスリングをする人がほとんどだと書きましたが、
中にはレガ−スをつけているのに蹴りを使わない人もいます。
単なるファッションなのかな〜という人がいるのです。
なんか寂しいと思いません?
それだったら、もっとシューズに凝ってもらいたいとおもいます。
今もハヤブサや人生といったレスラーがいますけど、
それでも昔に比べたら少ないですよね。
また、プロレス用シューズを履いているレスラーもすくないですね。
全日や新日には多いですけど、インディー系には少ないですね。
外人にはまだまだキャラクターシューズも多いですけど、
特に日本人!!レスラーのみなさんに期待したいです。
ここまで書くとレガ−ス批判派とお思いでしょうが、
UWFに初めてレガースが出てきたときにはよっ!よくぞやってくれた≠ニ感動しました。
これは、第1回にも書きました「プロレス八百長論争」において、
私に勝利をもたらしてくれましたもん。
でも、あの時のレガ−ス着用レスラー達は、それをちゃんと生かしてましたよね?
そして、試合に応じてシューズを替えたりしてました。
猪木と藤原の最初の試合(藤原がUWFリーグ戦を勝ち抜き猪木と対戦)の時、
それまでプロ用のシューズを履いていた藤原がアマ用のシューズを履いてきました。
これは、アマ用の方がグランド戦に有利だというところからです。
プロ用に比べてアマ用の方が足首の部分が柔らかいのです。
藤原は最初から猪木とストロングスタイルの原点をやるつもりだったんです。
また、昭和60年8月24日の全女武道館決戦のとき、
クラッシュギャルズの二人はレガ−スをはずして試合に挑みました。
この時も蹴りを封印し、グランド戦を挑んでましたね。
まだ、あの頃は理解出来ましたョ。
余談ですが、
外人レスラーのリングシューズは日本人のそれに比べて靴底が厚いのをご存知でしょうか?
それは以前に松浪健四郎先生のコラムで読んだのですが、
日本人に比べて欧米人の足首は弱いそうです。
それはなぜか・・?
それは「トイレ」の違いだそうです。
和式トイレを小さい頃から使っていた日本人は自然と欧米人に比べて足首が強くなっているそうです
(最近はそうでもなくなっているそうですが)。
つまり、外人レスラーの靴底はその弱い足首を保護するために厚くなっているのです。
そんなこんなで書いてきましたが、リングシューズってけっこう奥が深いですよ。
みなさんも一度じっくり考察してみたらどうでしょうか?
ぜひおすすめします。
■ 夕刊プロレス940号より ■
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「DORANEKO・ROCK」
とらねこ
「ガチャピンさん、サンダーライガーさん」
にゃお。
やっほー、またまた来たよー、おいら、とらねこ。
みんな、夏休みは楽しく過ごせたかな。
おいらの夏休みは、ニシエヒガシエと大忙しだったよ。くーっ、やっぱ旅はいいよねえ。
旅と言えば、この夏に、何と宇宙に行っちまった、まいっちんぐな奴がいる。ガチャピンだ。
ポンキッキーズに出てる緑の着ぐるみのやつだ。恐竜の子供らしいぜ。
ちなみに、いつも隣にいる赤いモップみたいなムックは雪男の子供らしい。ホントかよ。
歳はふたりとも、5歳だとか。35歳の間違いじゃないかと、おいらは思うんだけどな。だははは。
そのガチャピン、前からスカイダイビングや、ロックマウンテンや、
スキューバなんかもやっちゃうスゲエ奴なんだが、今度は宇宙に行っちまいやがった。
ロシアのミールとかいう人工衛星に乗ったらしい。
もう、ここまで来ると、おいら、尊敬しちゃうな。
きっと、5歳くらいのガキが、ガチャピンの活躍を見て、
大きくなったら、ああなりたいとか思うんだろうな。いいよ。
ガチャピン最高だ。あんたは、子供たちに夢を見せるスーパーマンだーっ。
あれ?男だっけか。まあ、どっちでもいいけどな。
着ぐるみって言えば、プロレス界では、獣神サンダーライガーさんだー。
東京ドームでのデビュー戦、ぶったまげたね。暑いよな、あれじゃ。
どうせすぐに脱いじゃうと思ってたけど、まだやってるもんな。
さすが、あんたもプロだね。でもな、カチャピンには負けてると思うぜ。
もちろんガチャピンの中身は毎回違う人だろうさ。シューターより入れ替わってると思う。
でもそれはインチキなんかじゃなく、カチャピンというキャラクターを通して、
子供たちに夢を与えるという目的のためにそうしている。
ライガーさんよ、あんたはいったいなぜ、ライガーになったんだい?
「お前ら、噛みつかないのか」とか、「オレの首を掻っ斬ってみろ」とか、
どっかで聞いたセリフ言っちゃってさ。
世代闘争なんて、そんなスケールの小さい闘いやめときな。
ライガーにしかできないプロレスって、あるんじゃないのかね。
ルチャとかさ、馬場さんやタイガードリームや角掛留造との夢のタッグとか。
WCWに行っちゃってあっちでヒーローになっちゃうとかよ。
むこうは、ゴールデンタイムに放送してるらしいじゃねえか。
両方のNWOに入っちゃって、赤ライガーと白ライガーの対決とかおもろいね。
相手のライガーにはペガサス、エディ、シックスなんかが日替わりでマスク被って。
ライガー本人も、今日は赤、明日は白とかね。毎回中身が変わっちゃってさ。
いいじゃねえか、どうせ、ガチャピンもそうなんだしよ。
しまいには、ナッシュとか、ホーガンまでライガーになったりして。
ホーガンならきっと、マスクにヒゲ書いて、バンダナしてくるな。
ひぃー、おもしろすきるー。たまりませんな。
大谷、金本との抗争より、よっぽどイイだろ。
ライガーのキャラでなきゃできないことしなきゃ、ライガーになった意味がない。
リバプールでハゲ・・・あっいや、風になったんなら、
子供たちの前髪をなびかせる風になってくれ。たのんだぜ、ハゲ。
・・ってなこと言ってる間に、本日もお時間となりました。残念だねえ。
みなさん、またどこかでお会いしましょう。んじゃ、さいならー。
にゃおーん。
■ 夕刊プロレス1004号より ■
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「 反則カウントが聞こえる・・・」
じっ太
その2 『野球』と『ベースボール』
今回、夕プロ1000号記念(?)新装開店とかで、桃太郎さん直々にお誘いがあり、
月一レギュラーとして、恥ずかしながら駄文を書かせていただく事となりました。
ネームの方も、“じっ太”として再出発いたします。基本コンセプトは従来通り、
反則カウントものの内容ってことで・・・よろしくお願いします。
横浜ベイスターズが日本シリーズを制し、日本一となった。
その戦いぶりは堂々としたもので、98年の戦いの総決算といった内容であった。
シーズンの途中、nWoとの共闘も有り(?)、それまでの管理野球とは違った、
“結果はグラウンドで出す”みたいなプロらしい責任の取り方を見せてもらった。
ちゃんと祝賀会などでもnWoの一員としてのパフォーマンスも忘れる事もなく、たいした連中である。
そこに蝶野の姿でもあれば、もっと面白かったのだが。
さて、我が中日ドラゴンズは横浜ベイとの直接対決をことごとく逸し、リーグ優勝を逃した。
私自身、北海道シリーズでの横浜ベイとの引き分け(6点差を追いつかれ、日没引き分け〜再試合)で、
「今年は横浜だ」と確信した。
今年は“強い中日”というよりも“負けない中日”といった印象であった。
星野監督自身、まだチーム再建の途中を語っており、今年は予定外の結果であったのではないか。
だが、以前の中日ならば、横浜ファンを圧倒するかのごとき地元名古屋の応援で追い風を起こし、
横浜を倒していただろう、と思うのは私だけだろうか・・・。
先日、中日スポーツに権藤監督の娘さんのコメントが載っていた。
監督は、大リーグを研究していたせいか「オレは腹の中を探り合うような野球はキライだ。
素直に戦ってこそ野球は面白い」と、常々言っていたという。
勝負にこだわる監督が多い中、それ以前に野球を楽しもう、という気持ちがある。
まさに「勝利は後からついてくる」である。
娘さんの言葉を借りるまでもなく、カッコよすぎる。
中日の持ち味は、打線爆発で、スカッと勝つか、哀れボロ負け・・・みたいな、
あまり細かい野球をするチームではなかった。
ところが、である。
今年は星野監督の思惑通り(?)ヒット、犠打、盗塁...etc.ちまちました野球になっちまった。
私はドーム球場だろうがなんだろうがガンガン打って
(いままで通り)相手球団を青くさせるような野球をしてほしかった。
ならば、きっとファンは熱い声援を送る気になる。
“来た球を打つ”いたってシンプル。
それが野球だと思うし、それだから面白い。
以前の中日は、勝率はあまり良くはなかったが、そんな姿が私たちを引き付けていた。
話はややそれるが、今年のプロ野球界での話題で、
アメリカ大リーグのホームラン王争いは忘れる事はないだろう。
その本数もさることながら、あの紳士的な戦いは何だろう。
堂々と投げ、堂々と打つ。
少年の頃、校庭や空き地でやった、草野球のようだ。
なにも作戦など無い。
「俺の球が打てるか!」「打ってやるから投げてみろ!」
そんな会話が聞こえてくるようなワクワクドキドキの連続だった。
よく言われる「野球とベースボールは違うもの」というのが分かった瞬間でもあった。
例によって(?)思いっきり飛んでしまうが、柔道や空手はどうなのか・・。
「ベースボール」が海を渡り、日本で「野球」となったように、それらは・・。
オリンピックや世界大会などで見る限り、やはり、
オリジナルの「柔道」ではなくなっているように見える。
それは、日本では精神面がはじめにあって、勝負は二の次、
(というか精神の鍛練が出来ている者が強い)といった感覚なのに対し、
世界の舞台での「ジュードー」は、どんどん技を出し、結果を出す(ポイントを取る)
事を優先させられる。
精神が出る幕が無いのだ。
確かに、それをスポーツとして多くの人に広め、ゲーム性を持たせねば、
そういった大会は出来ないのだが・・。
道着の色別化なども取りざたされており、「柔道」は、だんだん形を変え、
「ジュードー」に変わりつつあるのが現状のようだ。
「柔術」が「グレーシー」になったように・・は、チト言い過ぎか・・。
横浜ベイスターズの野球は、確かに日本の「野球」ではあるが、
読売巨人軍のV9(川上監督)以来続いた管理野球から一歩抜け出した新たな、
より「ベースボール」に近づいたものになったような気がする。
彼らなら大リーグのチームとでも互角に戦い、勝利する事も可能だろう。
野球もオリンピック種目になる。
他のプロ球団も、旧態依然とした「野球」をしている限り、
世界の壁はますます高くなると思うのだが。
・・・おっと、3カウントか。やめとこう・・・
「反則カウントが聞こえる・・・」その2 おわり
■ 夕刊プロレス1022号より ■
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「スリーアウトチェンジ!」
ヒロト
「いとしの藤田君と私」
前の原稿で書き忘れたけど女子レスラーでcoccoをかける人はいないのだろうか?
セカンドじゃなくてファーストの「ブーゲンビリア」のほう。
「その鼻をへし折って 倒して 蹴り上げるわよ」などなど名歌詞がいっぱいなのですが。
聞いてみたいです、きれいな女の子レスラー希望。
さて本題。
藤田くんである。
といっても大日本のほうじゃなくて新日の藤田くんのほうである。
最初見たときはホモかと思った。いや整った顔とカラダが不釣り合いで。
久々にプロレスラー本来の
「化け物らしさ(失礼だけどあえてこういわせてもらう)」を持ってるレスラーだと思った。
ふーん、ガチンコ強そうだなぁ、と思っていたらいきなりドン・フライ戦に抜擢。
第一戦目はテレビ見忘れたのだが(くそう、入手できねえかなぁ)
雑誌でその模様を見てますますひかれた。
(ちなみにスパのバカサイでもせきしろさんか椎名さんがほめてた)
第二戦もかなりの内容。
大体UFC王者ドン・フライをキャリア1年ぐらいの選手が
真っ向にプロレスと呼べるまでの試合やることがとんでもねー。
どきどきした。
(関係ないけどこの前の斉藤のハーフガードにも、どきどきさせられました、
維震軍でそんな技術習ってるのか!?越中がもしかしたら一番ガチンコつよかったりして、
とか思っちゃいました。バカですね。でも越中のガードとか、タックルとか、マウントとか、
回転体のグランドとか、すげえ見たくありません?俺だけ?)
その後イッシーなどと時々ガチンコをやりつつ
(福岡だかでシングルで藤田が勝った、なんて聞いたときにますますこいつだ!と確信しました)
あのアントニオ猪木引退試合トーナメントにエントリーされる。
一回戦でイゴール・メインダートとがしがしやりあう。
(ダウンしたとき佐山タイガーの大丈夫か?という声にはいっ、やれます!と答えたとこなんかもぉ)
残念ながら負けたけど次の日西船橋のこぎたねえ駅前にて遭遇(実家が船橋だそうで)
ふつーのかっこしてたけどあきらかに
「かたぎじゃねえ」な雰囲気を漂わせていて声すらかけれませんでした。
ああ素敵。
と、いうわけで今の新日さいてー、と思いつつも中西、藤田、
カシンには惚れつつ、彼らの情報だけは収集してるのでした。
中西、カシンもかなりイイ話があるのですがとりあえず藤田さんのをあげると。
@頭蓋骨の大きさが類人猿並み (紙プロ書評より)
どうですか!!!!この時点でボクもう降参です。
イゴール・メインダートに頭ぼこぼこ殴られた次の日、
船橋をふらふらしてた強靱さの秘密の一端がわかった気がします
(他にも多分肺活力がゴリラ並み、とかいろいろあるにちがいない)
大体、臼田を一撃で倒した佐山タイガーの蹴り何発くらっても平気だった、
というエピソードもあるし。
知り合いの某インディーの選手がスパーしたときに5秒でひっくり返されたとか。
ああ素敵。
大体あの頭ぶつけまくるフランケンシュタイナーをやりつづけるとこからして人間じゃないと思ってました。
異常な身体能力、というのはやはりレスラーの基本ですよね。
あるリングス者の人によると「高阪を一回りでかくしたカラダ」だし。
いろいろ夢ふくらみますよね。
多分、昭和新日者からすると許せない存在であろう佐藤ルミナとの試合。
スタンドではパンチをあえて受けまくる藤田。
佐野みたいにはならない。
だって類人猿だから。
にやりと笑って両足タックルからジャック・ハンマー(?名前ちがう気するな)を無理やりきめる藤田。
とにかくぶんなげまくる試合展開を希望。
一回やってくれたらもう総合ファンとの不毛な争いも無くなるでしょう。
はぁ、やってくんないかなぁ。ていうかあのTシャツやぶっちゃえ(関係ない)
さて気になるのが彼の女性関係。(強引)
昔の週プロインタビューを読んだ限りではまじめな男だと思っていたらナイスな裏情報が。
「会って二秒でホテル行こう!っていうらしい」とのこと。大爆笑。
ナイスです。それでこそレスラー。往年の北尾のこーちゃんやら輪島のようです。
ああ素敵。わかいうちはそれでいいさ。でも病気には気をつけるように。
と、いうわけでUFOに参加しなかったのはがっかりだけど
これからも藤田はおっかけていく気なのでした。終わり。
■ 夕刊プロレス1039号より ■
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「KING OF SPORTS」
ごるご十三
第7試合 : 「演出」
最近またぞろ新日の周りがあわただしい。
せっかく書いてた12月分の原稿が、あっというまに風化してしまった。
つーことで書き直し。
ファイター長州力は凄かった。
しかし頂点に立った時、つまり単なるファイターでなくなった時、つまらないレスラーになった。
坂口征二はいい社長だ。
でもいい演出家ではない。
猪木の亡霊を見ているのか?レスラーとしてドラマを作り、社長として演出していた猪木の。。。
前にも言ったかもしれないが、プロレスは単なるスポーツではなく、アートだと思っている。
鍛え上げられた肉体をぶつけ合い、ドラマを、人生を見せなければいけない。
大学出のエリートスポーツマンには勤まらないのかもしれない。
nWoシリーズが終わった。
蝶野はどんなドラマを作ってくれるだろう、そう期待したが、ご存知の通り負傷欠場。
いつも通り長州プロデュースのカードが並ぶ。
テーマのない、Jrシングル三連戦。
カシンなんてやる気のかけらも見えない。
そんなにいやならUFO行っちまえよ。
金本VS高岩、タッグパートナーとの対戦。
いい試合だったよ、でもなぜ今?ライガー、大谷。。。勿体無い。もっと盛り上げられるだろ。
結局ドラマを作り上げ、完成させたのはnWoだった。
狙ってかどうかは不明だが、小島の正規軍離脱、天山、ヒロとの確執。
そして天山から渡されたTシャツ。凄いよ。確かに小島はよくやったよ。
そしてドラマを作らず唐突に組まれたノートン、橋本のIWGPタイトルマッチ。
何を期待する?パワーとパワーの、正面からのぶつかりあいでしょう。
技でかわすというのは、猪木や藤波のように体格で劣るものの戦略。
が、中継で見る範囲橋本は体面をかなぐり捨てて、技で攻め込んだ。
ノートンは真っ正面から受け止めた。
そしてこれまでの新日での歴史を垣間見せながら、最後は完全KO。
凄いじゃない。王者らしい戦いだったよ。
結局、蝶野が手を下すまでもなく、nWoの色にそまった。
ドラマを作れないプロデューサーと自分で作り出すことの出来ない正規軍と呼ばれる連中。
小島にあたってる場合か?カシンよ、大谷、金本、高岩よ、
長州プロデュースのマッチメークに不満があるなら、思い切ってnWoに入りなよ。
蝶野が、そして武藤が面白くしてくれるぜ。
で、ここに来てUFO、大仁田。。。
やはり外部からの圧力がないとドラマが作れないのか、長州よ。
最強の演出家猪木、腐っても根っからのドラマ派、大仁田。
やばいぞ新日!やばいぞ長州!
などと思う私はやはり猪木/新日時代の人間。すでに古い考えなのかな。
■ 夕刊プロレス1018号より ■
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「プロレスよもやま話」
げべぞう
「WindowsとMacintosh」
パソコン業界では、WindowsとMacintoshという二大勢力がある。
このほかにもUNIXと呼ばれる系列のものも存在する。
私は仕事上、会社ではWindowsマシンを使用しているが、
自宅ではMacintoshをメインに使用している。
最初に買ったのがMacintoshということもあり、それなりに愛着を持っているつもりだ。
しかし、世の中を見まわしてみるとWindowsユーザーの数は圧倒的に多い。
世界的に見ても、Macintoshユーザーは10%に満たない、というような見解もあるほどだ。
巷のパソコンユーザーは、WindowsとMacintoshのどちらがよいか、
と議論することも多いだろう。
「Windowsのほうがシェアは多いし、ソフトも豊富だし、絶対にWindowsだよ。
マックってよく落ちて仕事では使えないね」
「Windowsはなんだか冷たい感じするじゃん。
マックのほうがユーザーフレンドリーだし、結局Windows95とか98だってマックの真似だろ?」
などなど。
こんな会話は結構聞かれる。
私はMacintoshが好きで、いろいろと遊んでいるのだが、Windowsにもいいところはある。
ツーボタンマウスなどは使いやすいし、ビジネスソフトならば断然Windowsのほうが使いやすい。
グラフィック系のソフトも意外と速く動いてくれる。
それでもMacintoshが好きなのだが。
少々強引だが、これはプロレスにも当てはまる。
Windowsがメジャーと呼ばれる全日本・新日本だとすると、Macintoshはインディー団体だ
(UNIXはさしづめU系団体か?)。
パソコン初心者はWindowsから入ることが多い。
プロレス初心者も、メジャー団体から見たほうがわかりやすいだろう。
かたやMacintoshはコアなファンが多いし、ユーザーの意見などもアップルがよく拾っている。
iMacに見られるような斬新なアイディアも時々見せてくれる。
まさに、インディー団体のファン層や試合形態と合致する。
私は、WindowsでもMacintoshでもそれなりにいいところがあると思い、
両方を使い分けているのだが、WindowsユーザーにはMacintoshをとても嫌っている人が多い。
仕事中にMacintoshが止まってしまったら、鬼の首を獲ったように私に向かって
「ほら、また落ちたよ。だからMacintoshはだめなんだ」と言う上司がいる。
別に私がMacintoshを作っているわけじゃないのだから、そんなことを言われても困る。
しかもなんだか腹が立つ。
好きなものをけなされていい気がするわけない。
また、Macintoshの場合はソフトに問題があることが多い。
OS自体にはあまり不具合の要因となるものはないのだ。
そういったことを理解しないで(しようとしないで)、頭ごなしに決め付けられるのが悲しくもなる。
メジャー団体のファンにも、インディー拒否反応を示す人は多い。
まさに、WindowsとMacintoshの関係は、メジャーとインディーの関係とそっくりだ。
同じ業界の中で対立概念があり、熾烈な競争があるのは仕方がないことだ。
しかし、お互いのことを理解しないで頭から否定をするのは、なんだかもったいない。
ビジネスでWindowsマシンを使い、趣味でMacintoshを駆使する。
メジャーの安定した試合もいいが、大日本のプロレス頭フル回転のデスマッチも楽しい。
私は、いつまでもWindowsとMacintoshを使いつづけ、田上を応援しながらインディーの試合観戦にも行くだろう。
やっぱりパソコンもプロレスも好きなんだ。
■ 夕刊プロレス1138号より ■
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「だんご3兄弟」
青空キュージコージ
キュージ:こんにちは。青空キュージでーす。
コージ :コージでーす。
キュージ:ふたり合わせて、
コージ :だんご3兄弟でーす。
キュージ:ふたりやがな。
コージ :長男は水子でーす。
キュージ:おいおい。
キュージ:何かだんご3兄弟って、凄いらしいな。
コージ :何が?
キュージ:300万枚売れたらしいで。
コージ :ほう、そんなに売れたんか。
キュージ:そうや。もう、街中だんごだらけや。
コージ :何でそんなに売れとんかいな。
キュージ:何や知らんけど、兄弟っちゅうのがよかったらしいで。
コージ :は?
キュージ:兄弟の仲良さを歌ったんがよかったんや。ええ歌やで。
コージ :そうかいな。
キュージ:そうや。
コージ :兄弟いうたら、プロレスラーも兄弟の、おるな。
キュージ:ファンクスとか、エリックスとかな。
コージ :何とかカラスもおったな。
キュージ:ああ、マスカラス兄弟やな。
コージ :おお、それや。マスカラス、ドスカラス、栗カラス。
キュージ:栗カラスはちゃうよ。あれは栗栖正伸やないか。
コージ :馬カラスは?
キュージ:上田馬之助や。
コージ :何や、そうかいな。見たかったなあ。
マスカラス・ドスカラスvs栗カラス・馬カラスの兄弟対決。
キュージ:だから、兄弟ちゃうって。
コージ :栗カラスの華麗なイス攻撃、馬カラスの空中ショルダークロー。
キュージ:華麗とか、空中とか、意味わかっとるか、キミ。
コージ :後藤達俊とか、小原道由も参加したらどうやろな。
キュージ:えっ、どういうこと?
コージ :達カラス、道カラス。
キュージ:ああ、そういう意味かい。
コージ :額に「達」と「道」書いたるマスクで、クルクル入れ替わるんや。
キュージ:そりゃあ、わかりにくいな。
コージ :ヒロカラス、平カラスもおるで。平もカタカナや。
キュージ:それ、平田淳嗣やな。
コージ :達カラス、道カラスvsヒロカラス、平カラスなんて、どうや。
キュージ:あんまり、見たないなあ。
コージ :後藤、小原vsヒロ、平田よりええやろ。
キュージ:・・・・、まあ、そうやね。
コージ :で、セコンドに、谷カラス、金カラス、安カラス、木戸カラス・・
キュージ:そればっかかい! もうええわ。
コージ :それ考えると、夜も眠れない。
■ 夕刊プロレス1152号より ■
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「プロレスって何だ」
トラキチ・マツダ
[2] 「強さ」と「面白さ」
まず、「プロレス」という言葉を定義する。
従来、1908年のフランク・ゴッチ(アメリカチャンピオン)対ジョージ・ハッケンシュミット
(ヨーロッパチャンピオン)の初代インターナショナル王者決定戦を
「近代プロレスのはじまり」とする定義がスタンダードなものとされてきた。
(注1)それ以前、プロレスは「プロのレスリング」であった。
しかし、不特定多数の「大衆」の存在が前提となる近代産業社会が形成されたこの時期、
プロレスは「プロのレスリング」以外の要素、すなわち見せ物としての要素が徐々に、
そして大量に注入されるようになり、「賭け」の対象から徐々にはずれていく。
その転換期にゴッチ対ハッケンシュミット戦が存在したわけで、
「近代プロレス」の定義はまあ、妥当なものと思える。
ちょっと乱暴だが、本書ではゴッチ対ハッケンシュミット戦以降を「プロレス以降」
それより前を「プロレス以前」とする。
※注1:おもに田鶴浜弘氏による定義。
古代より人類は「強さ」を究め、また、測るために様々な格闘技をあみだしてきた。
武器を持たない「個」の強さの探求は、おそらく人類の歴史が始まって以来のことであろう。
時代が19世紀から20世紀に変わる頃、プロのレスリングからあるタガがはずれた。
そこから「プロレス以降」が始まり、「面白さ」が追求されはじめた。
目的は当然、客を引っ張ることである。
具体的にはタッグマッチやデスマッチの導入、女子やミゼットをリングに上げたこと、
体重制階級分化(ボクシングのまね)など。
さらに時代と共に「わかりやすさ」も重要な要素になっていった。
強くてもわかりにくいのはダメなのである。
観客を飽きさせないために時間制限も導入された。
しかし、そうであっても、プロレスが興業として存在し続けるためには「強さ」の後ろ楯が前提となる。
客はうすうす、もしくはあからさまにプロレスの仕組みに気づき始める。
それによってファンを止めるものも多々いた。
また、特にアメリカではプロレスファンの階層は低下していった。
そうであっても客のある面での信用を維持続けるには常人ばなれした「強さ」が必要なのである。
これは、今、ショーマン全盛といわれているWWF,WCWなどのアメリカンプロレスでも同じことだ。
もちろん、「強さ」に関してあやしいレスラーも少なくないが。
プロレス以降、「面白さ」の影にかくれたかたちだが、「強さ」への追求がなくなったわけではない。
カール・ゴッチのように宮本武蔵よろしく、「強さ」を追求しつづける者も常に存在する。
あるタガがはずれたプロレスはまさしく「何でもあり」の世界。
しかし際限のない「何でもあり」の広がりは、プロレスの形を崩壊させる危機をはらむ。
プロレスの「強さ」あるいは、あるタガがはずれる前の記憶は「何でもあり」の広がりを食い止め、
プロレスの延命という役割を果たしているのかもしれない。
「強さ」と「面白さ」はしばしば矛盾する。それらをいかに止揚またはブレンドするかが、
プロレス団体運営当事者の腕の見せ所である。
特に「強さ」の後ろ楯が団体に対する信用となる日本においては。
プロレスは、その強靱な胃袋をもって「強さ」と「面白さ」を過剰に表現し続けてきた。
「週刊ファイト」のかつての名編集長井上義啓は、
「強さ」と「面白さ」が同居するプロレスのことをこういった。
「プロレスとは底の見えている底なし沼だ」
本当の名勝負とは、3日前にプロレスを知った者も30年間プロレスを見続けている者も予備知識でなく、
おのおのの解釈で「強さ」と「面白さ」を感じることができて、しかも単純に楽しめる試合であろう。
まず思いつくのが、1981年9月23日、
東京田園コロシアムでのスタン・ハンセン対アンドレ・ザ・ジャイアント戦だ。詳しくは後述する。
プロレスって何だ、簡単に語りつくせるものではないだろうが、最後までお付き合い願いたい。
(ROUND2終了)
■ 夕刊プロレス1277号より ■
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「ぷろれす川柳」
草枕パク
はい。
こんばんわ。「ぷろれす川柳」の私、草枕(くさまくら)パクと申します。
もう憶えていただけましたでしょうか。パクパクのパクでございます。
本日もどうかよろしくお願いいたします。
このコーナーはプロレスに関する川柳を募集し、紹介するというしろものでございます。
今週もたくさんの作品が届いております。楽しみですね。
さっそくまいりましょう。
最初はペンネーム「破壊王」さんの作品です。
「ゲームでも、KOされてしまうオレ」
あははは。いや笑っちゃいけませんね。失礼いたしました。
実は私も感じておりました。
最近発売されましたプロレスゲームなんですけどもコントローラーを
カチカチして技をかけあったりするのですが友人の操作するO川N也が
私めのH本S也を胴締めスリーパーで落とすのでございます。
それがもう何度やっても毎回毎回落とすのでございます。
この作者の方も自分のキャラを操作なんかしていっつもKOされているんでございましょう。
その相手キャラを操作しているのが我が子だったりすると困りますね。困ります。
「お父さんよわーい」なんて言われた日にゃ本気でDDTかけたりしそうです。
そんな自分を押さえて笑わねばなりません。
「お父さんもっと練習しなくっちゃなあ。ははは」
なんて力無く笑ったりしまして。ああプロレスラーって本当にツライ商売ですね。はい。
次は「Mr.BOO」さんの作品です。
「どっちだっけ、金本浩二? 仲本工事?」
どっちと言われましても。
トラのパンツはいてギター弾いてるのは仲本工事さんですね。
トラのパンツはいてストロボの中で試合したのは金本浩二さんです。
体操がうまいのは。うーん。どちらでしょう。
ひょっとしましたら。仲本工事さん・・でしょうか。
私どもが見たこともない空中殺法とかありそうですね。
トップロープ越しのトペかなんかで。
相手に当たる瞬間に耳元で「だっふんだ」とか「だめだこりゃ」とか。
コーナーポストから飛ぶ瞬間に「へーくしゅんっ」とかやってタイミングを狂わせたり。
オリジナルでないところが少しさみしいですね・・。
真樹先生は4代目をクビにして仲本さんを5代目にしてはいかがでしょう。
どこか仲本さんにトラのマスク被らせてタイガーにしていただける団体はございませんか。
あります。ありますね。あそこも。あそこも。あそこだってやりそうです。
是非ともやっていただきたいものです。
もし。この作品の問いが「タイガーマスクの正体はだれ?」
とかいう問いでしたら。私。つい「仲本工事!」って答えそうで。怖いです。
はい。次は「Tプロデューサー」さんの作品。
「ヤラセでも、面白ければいいじゃない」
ああ。またやってしまいましたね。
「ハルマゲドン2」のシェルター穴掘り現場からショベルカーが運ばれていったというやつですね。
まあ。私もプロレスファンでございますから。騙される面白さも承知しております。
プロレスから比べれば。ショベルカーで穴掘ったくらいのこと。ねえ。あなた。
プロレスの世界では額に十字書いたら洗脳されたりとかありますから。
瀬野っ。おいっ。瀬野ーっ。って見てるこっちが恥ずかしいじゃありませんか。
ヤラセ自体が悪いんじゃありませんね。満足させられないのがいけないんです。
洗脳されてSMレボリューションにでもなるのなら。私。拍手します。
クラッカーをパーンって鳴らして。はい。面白ければいいです。そのとおり。
次は「なべちゃん」さんの作品です。
「私利私欲、王様きどりのバカオーナー」
バカオーナーときましたか。過激ですね。誰のことですか。
FMWのあの方ですか。確かにちょっとワル乗りしてきましたね。
あらら。でも。あの方。コミッショナーだった気がいたします。
じゃあIWAジャパンの方・・・。いえいえ。あの方は社長ですね。
うーん。全女でもありませんねえ・・・。
おやっ。おやおやおや。どうも失礼いたしました。
どうやら私。
他のところでやっております「プロ野球川柳」の作品を間違って持ってきてしまったようでございます。
これはそちらで紹介するものでございました。いやはや。
失礼いたしました。
えっ。もうスペースがない。あらそうですか。
どうも私のミスで貴重なスペースを無駄にしてしまい誠に申しわけありませんでした。
ええと。このコーナーではみなさまからの「ぷろれす川柳」をお待ちしております。
これはというものを作られた方は草枕パクまで送って下さい。
たくさんのご応募お待ちしてます。でわでわ。またお会いいたしましょう。
■ 夕刊プロレス1152号より ■
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「現実逃避のリング」
DZR
「プロレスと言語」
あたりまえのことだが、世の中にはプロレス・ファンとそうでない人がいる。
「夕プロ」を購読している皆さんは、当然前者に属するであろう。
プロレス・ファンとは、プロレスを愛し、それがどのようなものであるかを理解し、
その楽しさを自分以外のファンと共有できる人達であるといえる。
ただし、そうしたプロレス・ファン同士が共有する全ての情報は、
どうしたって「内輪ネタ」の域を脱しないことは否定出来ない。
世の中には「1・4・東京ドーム」と書いてあるのを
「いちドットよんドット、とうきょうドーム?何それ?」
と読む人がいるし(本当)、またそうした人がほとんどであろう。
「1・4」という数字を「小川が橋本をボッコボコ」
という事件と結びつけて考えることの出来る人達は、残念ながら少数派なのである。
プロレスを全く知らない人と話す機会があった。
いや、「全く知らない」というのには語弊があるかも知れない。
プロレスの存在は知っている、ただ、それがどのようなものであるのかを理解していないだけだ。
その人は62歳の短大教授。
彼女が教える文化人類学のゼミで、「女子プロレス:LLPWの英雄(ヒロイン)像」
という題目で卒業論文を書こうとしている学生がいた。
彼女は文化人類学のプロとして、
「この学問には制限はない。人間の営みの全てが研究対象である」と常に主張してきた。
だから、この学生の題目を拒否することが出来なかった。
そして、その論文の評価を行うために、彼女自身が女子プロレスを理解する必要に迫られたのだ。
彼女は学内に出入りしている人間でプロレスに詳しい者を捜しており、
その結果、どうしてか僕に白羽の矢が立ったのである。
彼女にプロレスを理解させることは、思った以上に大変な作業になることが予想された。
何せ「リング」という言葉も知らないのだ。
この調子では、彼女の学生が論の中核にしている
「ヒール」と「ベビーフェイス」の役割を理解させるのには、
どれだけの時間がかかるのだろうか?結局、言葉のみでの説明には無理があると考え、
「王道・全日本プロレス」のテレビ中継を録画に録り、
それをテキストにして辛抱強くプロレスの基本構造をレクチャーした。
当初の心配とは裏腹に、彼女は驚くべきペースでプロレスを理解していった。
「ビデオ教材」が効いたこともあったが、
それ以上に文化人類学者である彼女の考え方の柔軟性が原因であったと思われる。
しかし、今回のレクチャーを通じて実感したのが、プロレスというものが、
どれだけ特殊な用語に「守られて」いるかということだった。
技の名前はもちろんのこと、前出の「ヒール」等のレスラーの役割を指す言葉等、
僕達プロレス・ファンが「常識」として使っている言葉が、
彼女にとっては全く何の意味もなさないというのは、驚きを超えてショックですらあった。
とりわけ、「受け」という言葉の説明には苦慮した。
レスラーが敵をロープに振る。
敵はロープに弾かれて戻ってきて、技を「受ける」。
このことがどうしても彼女には理解出来なかったらしい。
「どうしてわざわざ相手の攻撃を受けないといけないの?」当然の質問である。
同様の疑問を他人からぶつけられた「夕プロ」読者も多いと思われる。
僕も本来なら「プロレスだからですよ、ははは」で済ましてしまうのだが、今回はそうはいかない。
何せ相手は大学教授だし、
僕のいい加減な答えで、そのキュート(?)な女子学生に迷惑がかかったら大事ではないか!
考えに考えた揚げ句、僕は一つの例を思いついた。
「先生、陸上競技には短距離走と長距離走がありますよね。
プロレスは長距離走に似た競技なんですよ。
短距離走はスピードを競う。
その反対に長距離走はスタミナを競う。
プロレスは身体を究極に鍛えた人間同士がぶつかって、相手のスタミナをどれだけ奪うか、
それを競う競技なんです。
だから、わざと相手の攻撃を受けなければならない。
そして、攻撃する側も相手に致命的なダメージを与える様な攻撃を出してはいけない。
レスラーは皆、相手の動きを一瞬にして止めるような、敵を壊す技を持ってますよ。
ただ、それを出してしまったら短距離走になってしまいますよね。
本来のプロレス競技とは別物になってしまうんです。
ですから、プロレスが長距離走、
つまり、スタミナの奪い合いの競技として成り立つための最低限かつ最重要なルールが、
受けを取ることなんですよ」
この説明で彼女はどうにか納得してくれたらしい。
自分でも割と上手くプロレスの精神を表すことが出来たかな、と考えている。
別れの時、彼女が「プロレスって思ったよりも深いのねえ。感心したわ」
といってくれたのがとても嬉しかった。
■ 夕刊プロレス1346号より ■
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「いま、考えていること」
ヒグ魔人
第1回 「プロレスの楽しみ方」
こんにちは。新しくレギュラーコラムニストになりました、ヒグ魔人です。
どうぞ、よろしく。
過去に2度ほど投稿道場に参戦していますが、
どちらも1.4からの橋本対小川の動向について書いてきたので、
やはり今回もこの話題をはずすわけには行かないと思い、
10.11橋本対小川について書かせていただきます。
なぜ、私が両者の戦いにこれほどまでこだわるのかと言うと、
やはり新日本プロレスを「King Of Sports」と思いながら、
すごく長い時間を過ごしてきたからだと思います。
もちろん、20何年の間に多少プロレスから離れ、他のスポーツや、
UWFに浮気をしていたこともあります。
しかし、結局新日本のもつ求心力に引き戻され新日本プロレスファンというものを継続してきました。
自分はもともとプロレスの持つショー的要素を理解したうえでプロレスファンであると思っていたので、
プロレスを純粋に真剣勝負と捕らえてファンになっている人とは、少し意見が違います。
マイクアピールもパフォーマンスも客を意識したことができる人が本当のプロレスラーだと認識しています。
しかし、それの前提は「強い」ということです。
強いのが前提でプラス客を意識したことができる人。
それが一流のプロレスラーです。
昔、プロレスラーは強かったと思います。
プロレスにショー的要素はあるにせよ、
オールラウンドで勝負できるプロレスは他の格闘技の猛者たちと真剣勝負をしても、
決して戦績は悪くないはずです。
しかし、グレイシーを筆頭にした柔術の台頭により勝負や強さの概念が根本的に変わってきています。
「戦いとは、もともと殺し合いでルールがあること自体おかしい。
そもそも異種格闘技戦こそ、あたりまえの戦いなのだ。」
という考えでノールールを基盤に技術を構築していった柔術。
ショー的な部分がデフォルメされてしまったプロレスとは比べ物にならないほど高度な技術や理論を持ち、
現状でいえば「強い」のは柔術であり、プロレスではなくなってしまった。
それでもプロレスラーが柔術を覚えれば、
基礎体力が優れているから1.4の橋本や、
PRIDEでの佐野、今回の10.11の永田のような戦い方にはならないはずです。
マーク・ケアーや小川だって柔術、あるいは総合格闘技という分野でのキャリアは短いのに、
「知っている」から勝てるんだと思います。
別に柔術の試合をするわけではないから、柔術のエキスパートになる必要は無いけど、
戦う以上、相手を研究するのは当たり前。
それなのに、まったく戦い方を知らないプロレスラー達に少し疑問を感じます。
さて、今回の橋本対小川ですが私の予想ははずれました。
私は2通りの予想をしていて、
1)プロレスで橋本が勝つ
2)ガチンコで小川が勝つ
でした。結果はプロレスで小川が勝ちました。
もっと、深読みすればプロレスをさせた新日本の勝ちかもしれません。
どちらにしても、今回の戦いに、1. 4のような勝負論はありませんでした。
「そもそも、プロレスに勝負論はない」と怒る人もいるかもしれないけど、
「本当はプロレスラーは強い」と思って応援していた私にとって、
今のプロレスを楽しむ方法が見つかりません。
世間では橋本完敗と評しているけど、相当かっこつけて負けを演出していると思います。
「やられても、やられても、立ち上がる橋本」を小川と橋本が演出しています。
何か、物足りなくないですか?
ワクワクするプロレス・・・ どこかで始まりませんかねぇ。
■ 夕刊プロレス1612号より ■
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「我輩と馬場さん」
omi
嗚呼!「全日本プロレス中継」
全日分裂の噂が流れた時、我輩は「昔の試合が見れる!」と勝手に思い込んだ。
試合数の少ない分を、昔のビデオで補いながら、中継を続けて行くだろうと、しかし、読みは甘かった。
三沢軍団脱退が確定するや否や、日本テレビは「全日本プロレス中継」を終了し、
「コロッセオ」という格闘技総合情報番組を開始した。
この番組、今迄テレビで見れなかった団体の試合を、ダイジェストで、紹介してくれる番組である。
プロレスとは一線を隔しているK1まで取り上げ、視聴率UPを計っているようだ。
プロレスをメジャーな方向に導いてくれる様な気がする。
これで数字を稼げれば、番組自体がゴールデンに移行し、プロレスが人目に付き易くなり、
あわよくば、15年程前の様な状態に、否、それ以上の放送が期待できるかもしれない。
・・・しかし、なにかが物足りない。
日本テレビが我輩から奪ったものは大きい。
新日ヘビーにキャンペーンモード(モード中の選手はやたら勝ちまくる)を感じる我輩にとって、
熱い試合展開をじっくり観戦できる全日の放映が無くなってしまったのはとても痛い。
情報量としては、沢山入って来るし、見た事も無いレスラーの試合を見れるのはとても嬉しい。
しかし、物足りない。
なんだか魂を抜かれたスーパーのBGMを聞いている様だ。
我輩には、あの「全日本プロレス中継」が必要だったのだ。
なにかをしている途中でも、始まった瞬間テレビの前に座り、
息を止める様にしてじっと画面を睨みつけていた。
その瞬間が、我輩には必要だったのだ。
今のままでは、プロレスから離れてしまいそうだ。
現在、全日のレスラーは他のどの団体よりも少ない。
しかし、参戦を希望するレスラーはあとを絶たない。
選手が何処の団体であろうと、全日でする試合が王道プロレスならば、所属レスラーを揃える必要はない。
全日本プロレスはプロレス団体では無く、プロレス規格になればいい。
馬場さんの築き上げた物を残す為に、各団体から参戦を募ればいい。
三沢だって、辞めたくて辞めたわけでは無い。
全日のスタイルを守る為に脱退したんだから、王道プロレスに参加する事もやぶさかでないはずだ。
ノアが参加すれば、王道も継承できる。
早く「コロッセオ」がゴールデンに移行し、
どこかの隙間でまた「全日本プロレス中継」を復活して貰いたい。
■ 夕刊プロレス1824号より ■
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「ドラゴン藤波アンソロジー」
ラバーソウルみなみ
第2回 飛龍原爆固め
「藤波の得意技は?」と聞かれれば、10人が10人とも
「ドラゴン・スープレックス」・「飛龍原爆固め」と答えるだろう。
あのニューヨーク・マジソンスクエアガーデンで、
エストラーダを破り、WWWFジュニアヘビー級タイトルを奪取した技。
藤波の躍動感、かっこよさと相まって、
いまでもプロレスファンの脳裏に焼き付いている場面だ。
今回は、藤波がイワン・コロフに決めた飛龍原爆のお話です。
イワン・コロフ?そんな闘いがあったかな?と言う人には、ヒントです。
昭和53年3月30日、蔵前国技館。
こういうと、ああ、そのときか。と答えるにちがいありません。
そうです、「カネックの敵前逃亡事件」のあった日です。
▼60分1本勝負
1978年(昭和53年)3月30日 東京・蔵前国技館
○藤波(2分45秒・飛龍原爆固め)イワン・コロフ×
▼試合経過▼
試合開始前から、上田馬之助が乱入。コロフの足を鉄柱攻撃で痛めつける。
急遽、試合となったコロフは、この日2戦め。
藤波は、コロフよりも、カネックの敵前逃亡の報告と「おわび」を場内に説明すること、
さらには、乱入してきた上田に気が向いている。
観客が、ざわついた雰囲気の中でも、ゴングがなれば、試合をしなければならない。
藤波は、上田の鉄柱攻撃によって痛められたコロフの足を狙ってゆく。
これをコロフに力まかせのパンチではずされると、フルネルソンにとらえ、
電光石火の「飛龍原爆固め」!
レフェリー、カウントをせず、ゴングを要請。藤波の勝利。
その瞬間、リングに飛び込もうとエプロンにあがった上田にも、ドロップキック。
場外に蹴散らした。速攻勝負の、あざやかな試合であった。
▼試合について▼
なんといっても、挑戦が決まっていながら、しかも試合当日、会場まで来ておりながら、
「敵前逃亡」したカネックについて語らなければならないだろう。
カネックは、メキシコ遠征時代になんども手合わせした選手。
いわば、藤波が推薦して連れてきた選手。
この、前代未聞の敵前逃亡の理由については、いろいろあるが、
当日の関係者(なかでも藤波の)驚きは大変なものであったろう。
このシリーズの前半からカネックと藤波は、テレビマッチで抗争して、
対決ムードをあおってきた。
そして、ついに今日、決着をつける、マスクと髪の毛を賭ける、という試合になった。
当日の観客は、この対戦だけが目当てという人も少なくなかった。
それが、突然の試合中止の発表。「なんだよー」「金返せっ」という怒号が渦巻いた。
リング上で藤波がマイクをにぎる。
さあ何を言うかと、固唾を呑む。
藤波から出てきたことばは、「どうも。」 これには、会場が怒り、あきれ、失笑ももれた。
が、この会場のこの雰囲気を一変させたのは、次の、藤波のひとことだった。
「みなさん申し訳ありません。タイトルを返上します」
これに驚いたのは、こんどは、観客よりも関係者。
「何いってるんだ!返上なんかする必要ない」と新間さん。
しかし、この関係者もあわてさせる藤波のひとことが、観客を静めた。
「藤波、お前がわるいんじゃない。返上なんか、しなくていいぞ〜」
こうして挨拶(おわび)をしているところへ、上田馬之助が登場。
ゆっくりとリングにあがり、藤波に握手を求める。
藤波が手を出そうとしたところで、平手うち。
場外におりて、今度は、いきなりコロフを攻撃。
このハプニングで、観客の目を自分にひきつけ、なしくずし的に、藤波とコロフの試合に持ってゆき、
結果として、すっかりカネックのことを忘れさせたのはさすがだ。
上田は、有無をいわせず、試合を混乱させ、観客の不満を解消させたのだった。
なお、この試合に急遽かり出されたコロフは、藤波の飛龍原爆固めの受け身がとれず失神状態。
かなり長い時間マット上にのびたままで、ようやく首をおさえて、
若手に担がれるようにして花道を引き揚げていった。
その後、しばらく首を曲げたまま歩いていたという。
◆あのときの、あの衝撃、みんなで共有した、あの試合。
昭和プロレスは、考えるプロレス。
藤波は、昭和プロレスの人。
■ 夕刊プロレス2023号より ■
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「THE プレイバック」
BREEZE
第八回 マット界事件簿 その1
〜 新日本プロと全日本プロの主力外国人選手引き抜き合戦 〜
2001年9月11日、米国・ニューヨーク州の貿易センタービルとワシントン州の国防総省に
旅客機が突っ込むという史上かつてないテロ事件が発生した。
米国・ブッシュ大統領は武力報復を宣言し、米国国民も80%が報復を支持している。
まさに“目には目を”“報復には報復を”という訳であろう。
今から二十年前にプロレス団体間でも報復には報復の出来事(事件)が起きている。
新日本プロと全日本プロの主力外国人選手引き抜き合戦である。
1981年、タイガーマスクの出現で、新たなファン層を獲得し勢いに乗る新日本プロレス。
5月の第4回MSGシリーズの開幕戦である川崎市体育館のリング上には、
何と全日本プロレスの主力看板外国人レスラー、アブドーラ・ザ・ブッチャーが登場し、
IWGP参戦をアピール。
これが発端となり新日本と全日本との間でこれ以後“引き抜き合戦”が繰り広げられることになる。
一方、看板のヒール・レスラーを失った全日本でもその報復はすぐに始まった。
7月のサマーアクション・シリーズ開幕戦である熊谷市民体育館のリング上に、
やはり新日本の主力看板外国人レスラー、タイガー・ジェット・シンが、
旧友の上田馬之助と共に登場。
ブッチャーを引き抜かれた当初「売られた喧嘩は買う」
と発言していたジャイアント・馬場の逆襲であった。
決定的となった大事件がこの年の暮に発生する。
新日本は第2回MSGタッグリーグ戦が、
全日本は‘81世界最強タッグリーグ戦と両団体とも師走の風物詩と言われた
“タッグ・リーグ戦”が繰り広げられていたたが新日本の方は12月10日の最終戦に
アンドレ・ザ・ジャイアント&レネ・グレイ組がアントニオ・猪木&藤波辰巳組を破り優勝した。
その大事件は3日後の12月13日全日本・蔵前大会で発生する。
この日は81世界最強タッグリーグ戦の最終戦で
ブルーザー・ブロディ&ジミー・スヌーカ組とテリー・ファンク&ドリー・ファンク・ジュニア組が
優勝を懸け激突していた。
試合も白熱してきた時に突如、驚愕とどよめきが沸き起こった。
3日前まで新日本のタッグリーグ戦に参戦していたスタン・ハンセンが
テンガロン・ハットに私服という格好で花道から乱入し、
師匠にもあたるテリーを場外でウェスタン・ラリアットで失神させてしまった。
試合はブロディ&スヌーカ組が勝利し優勝をもぎ取った。
試合後は馬場を始めとする全日本勢とも乱闘を演じ、ハンセンの全日本参戦が決定的となった。
その後のハンセンの活躍は周知の通りで、プロレス史上に残る名勝負を演じているわけであるから、
この移籍は大成功であったと言えよう。
この馬場の強烈な“抜き返し”を契機にマット界の勢力図は大いに変わり、
全日本は日本人レスラー対豪華外国人レスラーの対戦で力道山の王道プロレスを継承し、
新日本では長州力が反旗を翻し維新軍を結成、又、
崩壊した国際プロからはラッシャー・木村率いる残党軍団が参戦し
日本人同士の軍団抗争に走るようになり、試合内容に過激さは全日本を抜いていた。
また互いのTVの実況放送にしても片方の団体名は勿論、
選手名を口に出すことさえタブーとなってしまった。
その後両団体とも数々の荒波を辿りながら、
新日本プロと全日本プロとが和解し団体交流戦に至ったのは皮肉にも馬場が他界した後、
実に18年もの歳月を要した。
最近では、猪木のZERO-ONEへの圧力が挙げられる。
先日のZERO-ONEの『真撃 第U章』では結果的に興行は成功に終わったが、
開催までは波乱に飛んだ経過を経ている。
バトラーツ勢の参戦ボイコット。
石川雄規、アレクサンダー・大塚の猪木軍への参戦などが新聞・雑誌で報道されていた。
猪木サイド、橋本真也(ZERO-ONE)サイド、バトラーツサイドの個々の見解も違っており、
ファンによってもどちらを支持するかは違ってくるであろう。
バトラーツサイドに至っては、
その後に開催されたディファ有明での自主興行が観客動員99人という数字をはじき出した。
やはり、ファンの目は確実であるというのが本音である。
報復が新たな報復を生み、遺恨が新たな遺恨が生むと言われているが、結局の所、
これを復旧するのは人間であり、プロレス界存続の危機が叫ばれている今日、
団体枠を越え復興と和平に向けて協力する必要がある時期にもうきている。
■ 夕刊プロレス2143号より ■
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「世界最強タッグ決定リーグ戦 あの日あの時」
eve
1987年 (前編)
世界最強タッグ決定リーグ戦。
その長き歴史の中において、「どの年が一番面白かったか?」
と聞かれれば、おそらく「1987年!」 と答えてしまうのではないか。
それほどこの年の大会は、華やかで激しく、そしてレベルの高い大会であった。
この年、ジャパンプロレスが分裂し長州らが新日マットに戻ってしまったのだが、
結果、そのことが豪華外人を再び呼び戻し、
本来の全日本プロレスの華やかさを取り戻すことになった。
しかし、それだけが面白い理由ではない。
「ジャンボの背中は見飽きた」の名言とともについに天龍が立ち上がったのだ。
常に鶴田の一歩後ろを歩き、鶴田をたて、全日の「格の序列」に従ってきた天龍源一郎。
その「格の序列」により鉄壁の堅固さを保っていた馬場の封建制度。
その分厚い壁に風穴を開けたのが長州だったとすれば、その後を引き継ぎ、
決壊させたのが天龍だった。
阿修羅原・川田利明・サムソン冬木らを帯同し、
馬場のプロレス観に対し真っ向勝負を挑んできたのだ。
「天龍革命」は全日の新しい「売り」となり、マットでは新日顔負けの、
連日激しい抗争が繰り広げられた。
鶴田や輪島が容赦なく顔を張られ、蹴りまくられる。
特に下積みもなく馬場に大切に育てられた鶴田・輪島らのまさにその
「別格扱い」こそが天龍革命の絶好の標的とされたのである。
馬場イズムを否定するような、容赦ない鶴田・輪島・三沢への攻め。
だが、この状況を一番望んでいたのは、他ならぬ馬場ではなかったか。
長州らが去っても一向に危機感を感じない鶴田、
人気だけが先行しなかなか乳離れできない輪島、
所詮二番煎じでもうひと伸びができない三沢タイガー。
ジャパン主力選手達の離脱、そしてゴールデンからの撤退という難局に対し、
馬場から「別格扱い」され優遇されてきた彼らには
この局面を乗り越えられるようなバイタリティは残念ながら無い。
馬場は秘かに期待していたのかもしれない。
天龍ならこの難局を乗り切られるのではないか。
自分が愛弟子達に唯一教えられなかったモノ、
鶴田や輪島らにはなく天龍のみが持っているモノ、「反骨精神」。
馬場は自分が教えられなかった、天龍が有するその反骨精神を高く評価し、
全日復活をそれに賭けてみたのではないか。
そして危機感の薄い鶴田や輪島に対し、「喝」を入れてほしかったのかもしれない。
馬場も、この年を境に、プロレス興行というものに対する考え方が微妙に変わるようになる。
自分の独断ではなく、ファンの意見やニーズにも広く耳を傾けるようになったのだ。
3冠統一構想やタッグタイトル統一構想も、そのひとつと言える。
今までの馬場なら、
長州らが去って余ってしまったベルトをこれから売り出す輪島や三沢あたりに巻かせ、
適当な外人レスラーを相手に防衛させ箔を付けさせていくという過保護的な興行手法だったはずだ。
ようやく馬場も気付き始めたのだろう。
もはや作られたスターが持てはやされるような時代ではない。
自分の力ではい上がってくるような者が認められる時代なのだ。
三沢・川田・田上・小橋・秋山。
のちのち彼らが全日で一時代を築くことができたのも、
自分の力ではい上がってくることができたからであり、
馬場が、そんな時代が来たことを理解することができたからに他ならない。
馬場の、プロレス興行というものに対する考え方の微妙な変化。
それは、最強タッグの参加メンバーにも見ることができた。
なんとブロディとブッチャーが全日マットに帰ってきたのだ!!
これまでの馬場なら、全日を裏切り出ていった者に対し
「一度裏切った奴は二度と使わない」という頑固なポリシーのもと、
何事があっても全日の敷居は絶対またがせないはずだったのに。
だが、プロレスファンにとってはこれほど嬉しいことはない。
もう二度と日本マットで彼らの雄姿は見られないだろうと半ば諦めていたからだ。
理由はどうであれ、ファンにとって馬場のこの決断は「英断」と言っていいだろう。
ブロディとブッチャー。
彼らほど全日を象徴する外人レスラーはいない。
もう見ることもかなわないだろうと思っていた
あのファンクスとブッチャーの対決がまた見られるのだ。
テリーとブッチャーの血の抗争がまた見られるのだ。
それに、ブロディはハンセンと袂を分かち、別チームを組んで乗り込んでくる。
ついにハンセンvsブロディの夢の対決が見られるのだ!!
ああ、夢なら覚めないでほしい。
本当に、本当にプロレスファンを続けていて良かったと思う。
「天龍革命」による激しい日本人抗争と豪華かつ圧倒的な外国人対決の見事な競演。
その絶妙なコントラストが醸し出すプロレスの醍醐味と奥深さ。
まさにプロレスの夢のてんこ盛り状態。
もうこれ以上の贅沢があるだろうか!?こりゃあ満腹間違いなしだ。
現在のプロレス、総合格闘技、K1、
それらを見て面白いと思ったことはあっても残念ながら贅沢だと思ったことはない。
満腹感を味わったことはない。
何かが足りないのだ。
この頃よりもずっと激しくリアリティのある闘いをしているのにもかかわらず。
それがいったい何なのか、何があれば満腹感でいっぱいになるのだろうか。
この年の最強タッグリーグ戦にその答えが隠されているような気がする。
■ 夕刊プロレス2051号より ■
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「バトラーツ休眠宣言に見るインデイ団体」
北の旅人
バトラーツが休眠宣言を出した。
いよいよか、というのが最初聞いたときの本音です。
一連の事件もさることながら、8,9月札幌テイセンホールに来たバトラーツと闘龍門
(観客動員数も試合の熱気、トーク素晴らしかったです)が今の勢いをはっきり表していたからである。
一番印象的なシーンが村上、田中が熱気ある戦いをしている中、
プランチャーに跳んだ日高が受けた邪道と倒れながら、ひそひそ話をしているシーン。
(これはサムライでもばっちり写ってました)
おまけにスワンダイブでずっこける集中力なのなさ。
メインの石川、臼田もしらけぶり、レフリー島田の傲慢さが感じるレフリング。
両国を目指した熱気や謙虚さはそこにありませんでした。
初心を忘れた団体にファンが突きつけた審判です。
これに似た現象がFMWであり、みちのくではないでしょうか?
彼らも一時期ブレイク仕掛けた頃がありましたが、
今はすっかりマニアの世界にどっぷり浸かっているように思われます。
5年持たないのが現状で、どの世界もやはり人間力が最後にものをいうように感じます。
・ 低迷する原因
1,離脱者がでる。
バトラーツで言えば池田、田中そして土方の時には団体の中が見えてしまったような。。。
他のインデイもみちのくを筆頭にひどいですね。これ一番ファンがさめますよね。もっと人間教育を。
2,トップレスラーの頭打ち
石川、サスケ、ハヤブサ。良いレスラーだが、スーパースターの雰囲気はなく、
トップレスラーの成長の 頭打ちがそのまま団体の低迷につながったいる。
トップこそ初心を忘れず謙虚に熱く勉強を。
3,長期的展望がない。
1,2年は一生懸命さでファンも応援するが、トップのスケールのなさが次に打つ手を考えていない。
想像力なさと観客のハートを考えていない結果か。
海外からもっと学んでほしい。観客に夢を。
4,マスコミの利用。
この3団体はターザン山本が週プロ(中学1年からずっと買っていましたが今年の夏から買うのをやめました)
編集長時代プッシュしたときブレイクするわけだが、
一般メデイアを巻き込んでいないため一般的知名度は全然あがらなかった。
金銭的トラブルもマスコミ的にはイメージが悪いか。
この辺はぜひドラゴン浅井には頑張ってもらいたい。
もっとファンを酔わせて。
そして地道に底辺拡大の努力を忘れないで。
辛口に書きましたが、バトラーツには個性のある選手(個人的には小野選手の目線は好きです)
が多いのでこのままで終わってほしくない、石川社長少しファンとずれちゃいましたね。
猪木マネあたりから観客の臭いをかくのがへたになってきたような。。。。
今回もプライド参戦でなく、
一芝居うってゼロワン橋本・大谷と差し違えれば観客も99人から444人には増えたのでは(笑)
苦しみから泥をなめてでもはい上がるバチバチ・バトラーツの復活を強くのぞむ。
今こそ初心に戻って頑張れ、格闘探偵団バトラーツ。
■ 夕刊プロレス2172〜2174号より ■
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「架空女子プロレス団体」
ウエダハツ
「WWW(トリプルダブリュー)」 第1回大会(旗揚げ戦)
「先の見えないこの混沌とした時代に一筋の光明が差し込んでまいりました。
2002年2月22日、プロレス史はこの日のことを忘れることはないでしょう。
プロレス新時代、WWW(トリプルダブリュー)の旗揚げ戦です!」
〜 いつもそう、君のことそう、思い出してそう、気絶しそう。あきらめない、
怖がらない、挑戦しなきゃ未来などない。
ドリーミング、駆け抜けてその足で、ドリーミング、掴み損ねても、明日があるまた次がある! 〜
「ここ東京、水道橋にある後楽園ホールは夢を追い求める観衆で溢れています。
私、15年ぶりに闘いの学舎に戻ってまいりました、実況の古舘任三郎です。
解説は新団体、WWWのコーチでもあります山本大鉄さんです。
山本さん、どうぞよろしくお願いします」
「こちらこそよろしくお願いします」
「いやあ、それにしてもよく入りました。
ここ後楽園ホールは闘いの聖地とも呼ばれていますが、
まさに巡礼に来たかのようにたくさんのプロレスファンが押し寄せています。
山本さん、これはWWWに対する期待の大きさを物語ってはいませんか」
「そうですね。本当にありがたいことです。
今日にたどり着くまでには本当に大変な道のりでした。
私どもフロントはもちろん、営業の社員も頑張りました。
また、選手もですね、今日のために一生懸命練習してきています。
こんなにも集まってくれたお客さんの期待に、必ず応えてくれるものと思います」
「さあ、山本さんから心強いお言葉をいただいたところでリング上に目を移してまいりましょう。
リング上ではセミファイナル45分1本勝負が行われております。
新団体、WWWの旗揚げに際し電撃復帰を果たした4選手がリングに昇っております。
ただいま攻撃を仕掛けておりますのが元SMW、飢狼姫こと、工藤みなみ。
強烈なスリーパーで長谷川秋恵の太い首をぐいぐいと締め上げております。
これは苦しそう。コーナーのデビー・マレットが心配そうに見ております。
このデビーと長谷川はかつて、老舗女子プロ団体、
電撃女子プロレスでタッグチームを結成しておりました。
今日は久々のタッグ結成であります。
一方、工藤のパートナーは女子プロレスの神様、ジャガー横谷です。
今、工藤とタッチしてリングに入ってきました。
長谷川をローブに振って、ヒップアタックだ。
山本さん、この動きは昔のままですね」
「本当に恐れ入りますね。
ジャガーは今年40歳になりますけれど全然衰えてないですね。
これもね、日頃のトレーニングの賜なわけですよ。
普通は引退したらトレーニングしませんよ。
そりゃ少しはやりますよ。でも現役の頃ほどはやらないわけですよ。
ところがですね、ジャガーは引退してからも現役と同じくらいトレーニングしてきたわけです。
だからあんな素晴らしい動きができるんですね。
いやあ本当に頭が下がります。僕なんかとてもできませんよ」
「おっと、ローリングソバット。長谷川も負けてはおりません。
強烈な一発がジャガーのアゴにヒットしました。ここで長谷川からデビーにタッチ。
キックから首を掴んでDDT。ジャガーの脳天をキャンバスに打ちつけました。
そしてそのままフロントネックロックだ。足を胴にからみつけて動けなくしている。
これは危ないぞ。がっちり決まっている。工藤がカットに入るも長谷川に捕まった。
これは危ない、危な〜い」
<カンカンカンカンカンカン!>
「おっと、ここでジャガーがギブアップ。
デビー・マレットがジャガー横谷からギブアップを奪いました〜っ」
「う〜ん、これは驚きましたね。
ジャガーも万全のコンデイションだったのですが、デビーに捕まってしまいましたね。
ああいう締め技は一度はいってしまうとなかなか逃げられないんですよ。
その前のDDTで頭を打ってたでしょ。
あれで一瞬、脳震盪みたいになってたんですね。
それで逃げられなかったんだと思います」
「なるほど、あのDDTが効いていたんですね。
それにしても女子プロレスの神様、ジャガーが負けてしまうとは、
何だかこの団体の恐ろしさを見た思いがいたします。
工藤みなみ・ジャガー横谷組対長谷川秋恵・デビーマレット組の一戦は13分25秒フロントネックロックにより、
デビーがジャガーからギブアップを奪っております。
さあ、このあとはメインイベント、新団体、WWWのエース決定戦、
タイガーハニー対キャンディー深津の試合をお届けします。
この放送は闘いの聖地、後楽園ホールより実況生中継でお送りしております」
** は〜じめての方も〜、気軽に投稿してよね〜、ルル〜、夕プロ〜 **
「さあ花道をキャンディー深津選手が入場してまいります。
ZWPからハルシオン、そしてこのWWWのリングへと流れ着きました。
漂流する天才、キャンディー深津。
果たして今夜このリング上で波止場を見つけることができるのでしょうか。
今、闘いの大海原へと入ってきました。
そして反対側の花道からは今日がデビュー戦、タイガーハニー選手が入場です。
疾風のように駆け抜けてサードロープの下をすり抜けてリングインだ。
この頃流行の女の子はコーナーポストに昇るような無粋なことはしないのか。
トラのマスクをつけてはいるものの今までのタイガーマスクとは趣を異にしております。
山本さん、このタイガーハニーという選手、独特の雰囲気がありますね」
「そうですね、古舘さん、いいことを言ってくれました。この選手はですね、
ウチでスカウトした選手じゃないんですよ。
ウチはね、深津とか、工藤とかをエース候補としてスカウトしたわけですが、
ある日、ぷらっと現れましてね。勝手に入団しちゃったんですよ」
「えっ、勝手にですか?」
「そうなんですよ。
勝手に道場のリングに上がって次々とウチの選手を負かしちゃったんですよ。
それでこれは大変だということで急遽会談を持ちまして。
お前は何だと。
道場破りかと聞いたところ、
いや私はプロレスがやりたいんだということなので正式に入団を認めたところなんです」
「ほほう、それはまた異色な選手ですね。
で、このタイガーハニーというキャラクターも本人の希望なんですか?」
「いや、それは私のアイデアです」
「えっ?山本さんの?」
「そうです。昔、新日本にタイガーマスクっていたでしょ。
佐山選手ですよ。
彼に似た動きをするもんですからね、これはいけると。
こいつなら女版タイガーマスクになれると思って、私がつけたんです」
「そ、そうですか・・。これはまた大変な選手が現れたものでありです。
片や漂流する天才、そしてまたこのタイガーハニーも身元不明の天才レスラーのようであります。
新団体、WWWの旗揚げ戦、メインイベントのゴングが鳴ろうとしております。
この放送は闘いのオリンピア、東京・後楽園ホールより実況生中継でお届けしております」
<カーン!>
「今、ゴングが鳴りました。
新団体、WWWの旗揚げ戦メインイベント60分1本勝負であります。
身元不明の天才、タイガーハニーと漂流する天才、キャンディー深津、
ふたりの天才ががっちり握手を交わしました。
おっと、深津の奇襲攻撃、キックからいきなりのジャーマンスープレックス。
タイガーハニーは後頭部を痛打した。
カウントはワン・ツー・・。
ツーで返しました。素早くリング下に逃げるハニー。
山本さん、深津は奇襲攻撃をかけてきましたね」
「いや、今のは奇襲なんかじゃないですよ。
コングが鳴った瞬間から試合は始まっているわけなんです。
ハニーは握手を求められたときに油断してしまったんです。
そこを深津にジャーマンをやられてしまったわけですよ。
このへんのところがまだまだ甘いですね」
「さあ、リング下のタイガーハニー、リングインするタイミングをうかがっております。
深津が牽制しております。
漂流する天才、キャンディー深津、再び闘いの大海原に出航してまいりました。
今夜このタイガーハニーの首をとって、WWWという波止場を占拠することができるのか。
ロープサイドを堤防のように両手を広げて回っております。
山本さん、ハニーが入ってこられませんね」
「そうですね、でもハニーは焦ってはいけません。
リング下には20秒いてもいいわけですから。
気持ちを落ち着かせてリングに入ればいいわけですよ。
相手のペースに乗らないことが大事です」
<16、17、18>
「今、ハニーがリングインしました。
深津が腕をとってロープ振る。ドロップキックだ。
バネのきいた一発がヒット。
続いて今度はコーナーポストに振る。
サルトモルタルだ。
次々と華麗な技を連発します。
巻き投げからアームロック。
なかなかいい動きを見せております、キャンディー深津」
「もう完全に深津のペースですね。
さすが色々なリングに上がってきたことはあります。
選手は初めて対戦する相手は怖いわけですよ。
相手がどんな技を出すのかわからないですから。
それでどうしても動きが小さくなってしまうものなんですが、深津はノビノビと闘っていますね。
さすがはベテランです。
ベテランと言うと本人に怒られてしまうかも知れませんが、歳をとっているという意味じゃなくてね、
プロレスが巧いという意味でベテランと呼んでいいかと思います」
「さあ、リング上ではねちっこいグランドの攻防になっております。
アームロックから首を足で挟み込んで横三角絞めのような形になっております。
何とかもがいてポイントをずらしていくハニー。
ロープに近づいていきます。ロープブレイクだ。
窮地を脱しましたタイガーハニー。本日がデビュー戦であります。
WWWのリングに突然現れた身元不明の天才、タイガーハニー。
そのマスクの下にはどんな素顔が隠されているのか。
一見はベビーフェイスに見えますが、実は悪魔のような心を持つヒールかも知れません。
謎に包まれた未確認生命体タイガーハニー、深津と距離をとって構えています。
山本さん、ハニーの方も落ち着きを取り戻したんじゃないですか」
「そうですね、もう大丈夫だと思います。
逆に深津の方が、あれっ、こんなはずじゃなかったのに、
って思っているんじゃないでしょうか。
うまくハニーにはぐらかされている感じがしますね」
「なるほど、天才同士の騙し合いになっているわけですね。
闘う者でしかわからないビミョーな駆け引きが行われているのかリング上。
両者は力比べの体勢に入っています。
パワーでは深津の方が上回っているか、ぐいぐいと押し込んでいます。
ブリッジで耐えますタイガーハニー、綺麗な人間橋が作られました。
その上に乗る深津、何度も反動をつけて潰しにいく。
おっと、ハニーのボディシザースだ。
深津の胴を挟みきるように締め付ける。深津の顔が苦痛に歪んでいます。
これは効いているようだ〜っ」
「古舘さん、このタイガーハニーという選手は脚の力がもの凄く強いわけなんですよ。
道場で脚の屈伸運動をやりますよね、ヒンズースクワットですよ。
あれをやってもハニーは他の選手の2倍、3倍やってもへっちゃらなんですよ。
他の選手がもうダメだとへたりこんでも、そこから逆にペースが上がっていくんですね。
私も色んな選手を見てきましたが脚力の強さで言えば、この選手がダントツの一番です」
「そうですか、他の選手がもうダメだとなってからペースが上がるという、
このあたりにこの選手の凄さというか、精神的な強さを感じますねえ。
ハニーはかなり負けず嫌いな性格なんじゃないですか」
「ああ、それは言えると思います。
練習してましてもね、一番じゃないと気が済まないんですよ。
例えば、ある選手がベンチプレスで何キロ上げたとなると自分も上げないと気が済まないわけなんです。
ランニングしても一番、スパーリングも一番になりたいタイプですね」
「すると、このタイガーハニーはWWWで一番身体能力の高い選手になるわけですか」
「総合的にはそうです。
ただ、背筋だけならこの深津やセミに出ていた長谷川の方が上ですし、
プロレスの試合は経験とか勘とかが勝負を左右しますからね。
試合になってしまえば工藤、ジャガーともどっこいどっこいというところだと思います」
「リング上は依然としてハニーのボディシザースが決まっております。
深津の胴をちぎらんばかりに締めております。
おっと、深津の両手がハニーの太い脚を抱えたぞ。
このまま一気にひっくり返そうというのか〜っ。
ひっくり返した。
ボストンクラブだ。
ハニーの背中がエビのように反り返っていきます。
これは凄い角度になった。
深津の強烈なボストンクラブ、ハニーの腰が90度に折られていく。
ハニー危な〜い。
あっと、深津、自らボストンクラブを解きました。
山本さん、これはどういうことですか」
「いや、わかりません。何かを狙っているんじゃないでしょうか」
「深津、ハニーの首根っこを押さえてロープに振った。
走り込んでカウンターのラリアットだ。
ハニーの体が一回転。
腹からキャンバスに叩きつけられました。
苦しそうです。
さあ、深津はクビを掻き切るポーズだ。何が出るのか〜。
ああっ、これはアルゼンチン・バックブリーカーだ。
先ほど痛めつけた腰に更に攻撃を加えます。
肩の上にハニーを担ぎ上げた〜っ。
山本さん、ボストンクラブをはずしたのはこの技を狙っていたんでしょうね」
「そうですね。
たぶん、深津としてはボストンクラブではギブアップがとれないと判断したんですね。
そこでラリアットでダメージを加えておいてもう一度背中を攻める作戦に出たわけですよ。
これはタイガーハニー、ピンチですよ」
「タイガーハニー、絶体絶命のピンチに陥っています。
キャンディー深津のアルゼンチン・バックブリーカーが背骨をへし折らんとしております。
ミシミシと音が聞こえるようであります」
「深津の背筋力は並じゃないんですよ。
ウチの団体でも1、2を争うパワーの持ち主ですからね。
早く逃げないとこのままきめられてしまいますよ」
「さあ、キャンディー深津のパワーが全開だ〜っ」
「キャンディー深津のアルゼンチン・バックブリーカーが決まっています。
今夜がデビュー戦のタイガーハニー、いきなりの大ピンチであります。
マスクの下の表情は苦痛に歪んでいることでありましょう。
新団体、WWWのエースを決める闘い、勝つのは深津か〜っ。
おっと、深津、がっくりと腰を落としました。山本さん、こ、これはどうしたことですか」
「ああっと、やってしまいましたか・・。
実は、深津は腰に故障をかかえていましてね、それが原因で2度引退してるんですよ。
十分に休んで復帰してきたはずなんですが、張り切りすぎてしまいましたか・・」
「深津が腰を押さえております。
攻め込んでいたはずの深津のアルゼンチン・バックブリーカーが、
逆に深津自身を追い込む結果になりました。
これはタイガーハニー、絶好のチャンスを迎えることになりました。
しかし、ハニーの動きも止まっているぞ。
攻めることを躊躇っているようにも見えます」
「ハニーはここで一気に攻めないとダメですね。
ヘタに同情でもしたらうまく丸め込まれてしまいますよ。
勝負の世界はそう甘くないです。ここは心を鬼にしても攻めなくてはいけません」
「さあ、山本さんの声が届いたのかタイガーハニーが反撃開始です。
深津を持ち上げてボディスラム。
もう1回ボディスラムです。
深津、そうとうダメージが大きいのか、動きがピタリと止まってしまいました。
ハニーがもう一度持ち上げて、今度はシュミット式のバックブリーカーだ。
リングの中央に置いた。
コーナーポストに飛び乗る。
こちらを向いた。
何が飛び出すのか。ああっと、何だ、この技は!!」
<ダダーン!!>
「や、山本さん、何ですか、これは」
「ハニーフラッシュです」
「ハ、ハニーフラッシュ? 今、一瞬光ったようにも見えましたが・・」
「そうでしょ、私も道場で初めて見たときはびっくりしましたよ。
凄い技だと。それでハニーフラッシュと名付けたわけです」
「えっ、ハニーフラッシュとは山本さんが名付けたわけですか?」
「そうです!」
「そ、そうですか。
それにしても凄い技が出たものです。
深津がダウン。
立てないでいます。
ダウンカウントが数えられています」
<3、4、5、6、7・・>
「フラフラと立ち上がる深津、大丈夫でしょうか。
おっと、ハニーがバックをとった。
後ろ手に腕をロックする。
後方に投げた〜っ。
タイガースープレックスだ〜っ」
<ワン、ツー・・、スリー!>
<カンカンカンカン!>
「決まりました〜っ、最後は鮮やかなタイガースープレックスが炸裂、
漂流する天才、キャンディー深津を海底深くへと沈めました〜っ。
山本さん、
最後のハニーフラッシュからタイガースープレックスの連携は見事だったんじゃないですか」
「そうですね。
ハニーフラッシュも完璧でしたが、そのあとのスープレックスも素晴らしいフォームでした。
どうですかね、前半は苦戦しましたがデビュー戦としては上々だったんじゃないですか」
「タイガーハニー見事なデビュー戦を果たしました。
観衆に手を振って応えております。
一方の敗れましたキャンディー深津、まだリング上に横たわっています。
腰のアクシデントさえなければ、もしかしたら勝っていたかもしれません。
惜しかったですねえ」
「まあ、これは勝負の運とでもいいましょうか。
仕方ありませんね。
逆に言うと深津の腰が限界に達するまで、ハニーの方が耐えたということが言えるわけですよ。
並の選手でしたら簡単にギブアップしていたところが、ハニーは耐えてしまうわけですよ。
それで深津は限界を超える無理をしてしまったわけです。
肉を斬らせて骨を断つ、じゃありませんけれど、
あのアルゼンチン・バックブリーカーは、ハニーの方も攻めていたわけですね」
「なるほど、あのシノギ合いの結果、深津の腰の方が先にまいってしまったというわけですね。
それにしてもいい試合でありました。
山本さん、この新団体WWW、何だか面白い団体になりそうですね」
「ありがとうございます。
古舘さんにそう言ってもらえると心強いです。
この団体はニューストロングスタイルということで、
華やかで楽しいんだけれどもしっかりとした力強さも持っていきたいと思っています。
小さなお子さんとかお年寄りに楽しんでもらいつつ、
目の肥えたファンの期待にも応えていくつもりです。
これからもどうかよろしくお願いします」
「実に楽しみになってまいりました新団体、WWW。
今、記念すべきメインイベントを終えた両者が向かい合っています。
勝ったハニーが深津に向かって手を差し伸べるております。
この握手に答えるのか、深津」
<バシッ>
「おおっと、ビンタだ。
深津がハニーの頬を張った。
悔しいでしょう、キャンディー深津。
あと一歩のところまで攻め込んでおきながら、勝ちを逃してしまいました。
何事か、ハニーに訴えております」
「なあに、また次に勝てばいいんですよ。
負けたらまた明日から、いや、今晩からでも稽古して、また挑戦すればいいんですよ。
そしたらハニーもうかうかとしていられませんよ。
そうやって切磋琢磨していくのが一番いいんです」
「おおっと、花道から誰かがやってきましたよ。
これは矢樹清美ですね。深津とはZWP時代に同じリングに上がっておりました。
今日は放送前の第5試合に出場して、福岡ヒカルと30分時間切れになっていますが、
おおっと、その福岡もリング下にいます。
深津、矢樹、福岡、元ZWPの3選手が揃いました。
タイガーハニー包囲網を作ろうとしているのか〜っ」
「この3人はZWP時代に軍団を作っていたんですよ。
えっと、ヒッキーズでしたか。
そんな名前でした。
新しい団体で復帰して、また一緒にやっていこうと思っているのかもしれませんね」
「これは旗揚げ早々大変なことになってきました。
ニューヒロイン、タイガーハニーに対し、ヒッキーズが全面戦争を仕掛けていくのか。
来週以降の展開が本当に楽しみであります。
さて、来週は東京・デイファ有明からWWWの熱い戦いをお届けいたします。
長谷川秋恵対デビー・マレット、
タイガーハニー・工藤みなみ・ジャガー横谷組対キャンディー深津・矢樹清美・福岡ヒカル組の
試合を中心にお届けする予定です。
本日の解説はWWWの山本大鉄さん、実況担当は古舘任三郎でお送りしました。
山本さん、今日は本当にありがとうございました」
「ありがとうございました」
「それではまだ闘いの興奮冷めやらぬ、東京・後楽園ホールよりお別れいたします。
ご機嫌ようサヨウナラ!」
〜 いつもそう、君のことそう、思い出してそう、気絶しそう。あきらめない、
怖がらない、挑戦しなきゃ未来などない。
ドリーミング、駆け抜けてその足で、ドリーミング、掴み損ねても、明日があるまた次がある! 〜
※この作品はフィクションであり、文中に登場する人物・団体名等は実在するものとは全く関係ありません。
■ 夕刊プロレス2014号より ■
↑
「魂のプロレス」
momotaro
僕は「死」が怖かった。
いつまでも「死」の恐怖を克服できないでいた。
なぜ「死」を背負って生きるのか。
何のために生かされているのか。
期限も知らされぬまま生きていることに、たまらない不安を感じていた。
いつか来る「死」という弾を恐れながら、毎夜引き金を引いて生きる。
誰もがみな、同じ運命なのだけれど・・。
しかし、死んでみると、そう大したことでもない。
まあ、僕の死に方が、苦しみを伴わないものだったこともあるが。
本当に楽なものだった。
まず、最初に目が見えなくなる。
その替わりに、耳がどんどん澄んでいく。
でも、それも長くは続かない。
やがて耳も聞こえなくなり、全身が痺れてくるのだ。
これが結構、気持ちいい。
全身の感覚が麻痺していき、爪先から徐々に動かなくなる。
いつの間にか呼吸すらも浅くなり、その間隔が長くなっていく。
まるで、息することを忘れたかのように、僕は死んでしまった。
平凡な人生だった。
思い残すことがあるとすれば、
夕刊プロレス2000号大会をやり直したかったことと、書きかけのコラムがあったことか。
だが、そんなこと、もうどうでもいい。
僕の人生は終わり、恐れていた「死」は、安らかに訪れてくれたのだ。
白い世界が広がる。
ただ白いだけの空。
その中を、軽い体が漂っている。
どこに行くのかもわからぬまま、ただフワフワと漂っている。
もう何日間もこうしている。
なぜだろう。
ひょっとして僕は死んでいないのだろうか。
一抹の不安がよぎる。
ただ眠っただけだったのか。
いや、それでは困る。
やっと「死」から逃れたのだ。
もう踏ん切りはついたのだ。
今さらいつもの朝を迎えられても迷惑だ。
このまま、あの世へと連れてってくれ。
そう思ったとき、どこからか声がした。
「さあ、着いたぞ」
太い男の声だ。
何だか、聞き覚えのある気もする。
「さあ、行ってこいっ」
そう聞こえると同時に、ゴングの音が聞こえた。
全身に重力が戻ってくる。
地面が体に張り付いた感触がした。
ざわざわと喧騒が聞こえる。
何十年も聞き慣れた音だ。
どうやら、また日常に戻ってきてしまったらしい。
何てこったい。
僕は目を開いた。
横たわっていた。
傾いた天地を正しい位置に戻そうと、顔を上げてみる。
頬についた小石を払う。
どこだろう、ここは。
振り返ってあたりを見渡すと髪から大粒の滴が落ちた。
髪がびっしょりと濡れている。
まるで生まれ落ちたばかりの赤子のようだ。
「東京か・・」
そこは東京だった。
通い慣れた東京ドームの前だった。
ドーム前の広間にへたりこんでいる。
何だってこんなところにいるんだろう。
ゆっくりと立ち上がった僕は、カンカン照りの日差しの中で、信じられない文字を目にした。
東京ドームの看板には、こう書いてあったのだ。
「NWA世界ヘビー級選手権試合」
「アンドレ・ザ・ジャイアントvsジャイアント馬場」
僕は、魂の地にたどり着いた。(つづく)
■ 夕刊プロレス1990号より ■
↑
「ゴングの魂 新しい可能性」
横浜の井崎
8月19日、社会にでてからこの日が来るのが憂鬱でしかない。
誕生日だと言うのに祝ってくれる人はいないし、何か良い事があったためしも無い。
ましてこの歳になってくると、歳を取るという事自体が非常に憂鬱でもあったりする。
そんな日に夕刊プロレスの2000号記念大会が行われるという事で、
私は少々不安を感じていた。
私は今回、この大会のスタッフ(と言っても大した事はやっていないのだが)
として前日の打ち合わせにも参加させてもらったが、
その際に全日本女子プロレスの提供試合に変更がある事を聞いた。
脇澤美穂に代わり藤井巳幸が出ると言う。
やっぱり今年もか?そんな不安が現実味を増してきた。
結論から先に言おう。
私の予感は見事に外れた。
こんなに楽しかった8月19日はどれくらいぶりだろうか。
同日、日本各地で色んな興行が行われていた。
その中でも、間違いなく上位を争うくらいの面白い興行であったと私は断言する。
特に、私の中で一番不安だった、全女の藤井選手の頑張りには驚かされた。
ただ今回は脇澤選手の欠場という事で、
納見・中西組VS高橋・藤井組にカード変更したのが効を奏した部分もあるのだが。
それでも今回の藤井は非常に良かった。
いつも見ている全女ファンなら「いつもそれくらいやってくれ」ときっと思うに違いない。
そして、その全女の試合に負けない位、ノアの試合も非常に良かった。
特に普通はあまり見られない、レフェリーとレスラーのかけあい。
この面白さは、文章で上手く伝えられないのが残念なのだが。
もちろん、
その前に行われたちゃたさんのパントマイムやホーキング青山さんのトークライブがあったから、
これだけ面白いものになったのは言うまでも無い。
ちゃたさんのひとりプロレスは、あのノアの丸藤選手が、バルコニーから熱心に見ていたらしい。
ホーキング青山さんのライブが終わった後、観客のテンションも丁度良く上がり、
その次に控える選手達が試合をやりやすかったと言うこともこの興行を成功に導いた要因の一つであったと思う。
ただ残念なのが、当初上映予定であったイメージソングのプロモーションビデオが上映できなかった事である。
何が残念なのかと言うと、会場に来てくださったお客さんに見せてあげられなかったのが残念なのだ。
全てのプログラムが終わり、後片付けが終わった後、スタッフのみで上映会をやったのだが、
本当に出来が良く素晴らしかった。
どう素晴らしかったのかと言うと、丁度その後にJ’dが興行をやるという事で、
J’dの選手達が会場にいたのだが、その選手達がこのビデオを真剣に見ていた。
それだけ素晴らしい出来だったという事だ。
あまりの出来のよさに、このプロモーションビデオを発売したらどうか、
と言う声もありもしかしたら発売されるかも知れない。
その時は是非購入して見て頂きたい。
とまぁ、かけあしで今回の興行の素晴らしさを書かせて頂いた訳ですが、
今回の興行で一番感じたことは、一人一人の力などたかが知れているが、
そんな小さな力でも情熱を持った力が沢山集まれば、
どんなものにも負けない魅力を生み出す事が出来るという事だ。
最近プロレスの興行は、話題優先で試合内容がおろそかになりすぎている。
高いチケットを買ってせっかく観戦に行ったのに、
がっかりして帰る事が非常に多くなってきている。
そんな興行に対し、チケットが高く無くたって、試合数が少なくたって、
話題性に乏しくたって、これだけの興行が出来るじゃないか。
そんな提言が出来た良い興行だったと私は思う。
それも、桃太郎さんをはじめ夕刊プロレスのコラムニストの皆さん、
ちゃたさん、青山さん、各団体の選手達、誰一人として欠けても、
おそらくここまでの興行にはならなかっただろう。
全員が力を出し尽くした結果であると思う。
最後に、一生忘れられない「8月19日」を作って頂いた、
桃太郎さん及び夕刊プロレスのコラムニストの皆さんへ感謝と尊敬の念をこめて。
「あっぱれ桃太郎。あっぱれ夕刊プロレス」
■ 夕刊プロレス2494〜2495号より ■
↑
「ワガババ2!」
so_sweet
夕刊プロレス2500回記念大会(その1)
レギュラーコラムニストのサイトとして上から2番目に紹介されているにも関わらず、
めっきり投稿しなくなったどこかの馬鹿に代って俺が投稿してやろう。
その名も「ワガババ2!」
反論や、質問が無い限り、短期集中連載になると思うので、覚悟しておけ!
更に、この投稿は間違いなく夕刊プロレスの品位を落とす事は間違いないので、
上品な読者は、俺の下品な投稿には反論などせず、自分の思った事を、
ほとばしる感情のまま文章にして、投稿するがよい。
そうすれば、夕刊プロレスの品位は保たれるだろう。
●●●1.5夕刊プロレス2500回記念試合●●●
夕プロ2500回記念大会は後楽園ホールで行われた。
俺にとってアルシオンの観戦は初めてであり、
知らない選手ばかりの団体に不安は募るばかりだった。
貧乏サラリーマンで妻子持ちなのにも関わらず多趣味なのもあって、
プロレス観戦に割ける予算は基本的に無い。
今まで会場で見た事自体少ないのだが、
業界最大手の新日より先に見る事になるとは思わなかった。
こうなったら新日は一生観戦しないってのもアリだろう。
どうせ遠くて見えないんだし。
知っている選手が飛鳥のみという情けない状況で挑んだ訳だが、思いの他楽しめた。
それというのも、第一試合に出ていた選手、
3本ものベルトを巻いていたにも関わらず、第一試合に出され、
あっさりと外人に負けてしまった、小さくて小太りの選手のおかげだった。
ビジュアル的にははっきりいってナシである。
にも関わらず、外人選手に痛めつけられている姿を見てエロい何かを感じてしまった。
久々の女子プロってのもあった所為かやけに興奮した。
試合自体はたいした見所も無く終了したが、俺の中の何かが燃え始めたのは否めなかった。
<<タイガーハニー>>
第二試合は夕刊プロレス所属タイガーハニーの登場だ!
キューティーハニーのテーマに乗って登場したタイガーハニーは、
長身でスレンダー、マスクの後ろからはみ出していた髪は短め、
顔なんかぁ見えなくてもいい!それだけで充分俺の好みだ!技なんかどうでもよくなった。
おまけに時々あげる声「ヘェ〜ィ」は高めのかすれ声!!
もうたまらあん!!
タイガーだから、牽制はソバットだとか、敵がリングの外に出たら飛ばなきゃとか、
後半タイガードライバーでダメージを与えて、とどめはタイガースープレックスだとか、
ハニーなんだからエロい衣装を着てなきゃとか、空中元素固定装置を使って変身しなきゃとか、
戦闘中におっぱいポロリがなきゃとか、そんなものはどうでもいい。
君はただそこにいるだけで、確実に俺を虜にし、
「ヘェ〜ィ」と一声あげるだけで、ノックダウンする事ができる。
写真集でないかな。
マスクしたままでいいから。
2000円位までならなんとか貯金するよ。
できれば、ソノシートでいい、あの声を入れておいてくれ。(本当はCD希望)
擦り切れて刺身のツマの大根みたくなるまで聞いてやる。
又は、PCの起動音に採用して、カミさんが眠ってから、
ヘッドホンを着けボリュームMAXで起動してやる。
写真とかあれば、スクリーンセーバーで楽しんでやる。(声付き)
最終的な試合内容?あー、気にしなくていいよ。
勝ってたみたいだけど、あれは形式的なもんだから、いや、俺は負けたね。
完全にハニーにやられちゃったよ。
という訳で、第1回はここまでにしておく。
夕刊プロレスの品位は如何に????
夕刊プロレス2500回記念大会(その2)
前回は、1月5日に行われた「夕刊プロレス2500回記念大会」
前半戦タイガーハニーの魅力をメインに語った。
聡明な読者はタイガーハニーがいかに魅力的か的確(?)に伝わっていると思う。
今回はその後編である。
<<ちゃた>>
透明人間対桃太郎ジュニアの試合は見ごたえたっぷりだった。
休憩時間中に行われたこの試合は、それまでのグズグズな会場の雰囲気を一気に変えた。
自分達は今プロレス会場に来ているんだという実感を与えてくれた。
ロープに振られた桃太郎ジュニアが、ラリアットを食らって1回転した時、
この男なら丸藤になれると思った。
透明人間は姿が見えないだけではなく、足音も聞こえないし、影も無い。
桃太郎ジュニアがどうやって見ていたのかは判らないが間違いなくそこに存在し、
桃太郎ジュニアを苦しめ、そして、ホールした。
俺はもう満足した。
もう帰ってもいいと思った。
ハーレー斉藤?GAMI?井上貴子すら霞んで見えたよ。
井上貴子が霞んで見えたよ。
あの井上貴子ですら霞んで見えたよ!(しつこい)
勿論、メインを張った俺の知らない人たちなんか(大向・吉田・AKINO・藤田)
それなりに面白かったけど、覚えてないもん。
余談
タイガーハニー・透明人間・桃太郎ジュニアの3名は夕刊プロレス所属らしい。
という訳で、今後、夕刊プロレスからは、続々とレスラーが登場するだろう。
”東北のイージーライダー「HI−グラーシー」”とか、
”高まる体脂肪率「贋レッドサイクロン総帥」”とか、
”戦う江川卓「ピーチジョン」”とか、
朝刊プロレスからも「一撃マスク」や「裏yoshi」「キング」などが参戦し、
興行が行われるだろう。
参加者・観戦希望者が増えれば、
ゲストレスラーをイエローキャブから呼んだりもできるだろう。
勿論全員マスクマンで、第一試合のバトルロイヤルで試合順を決める。
誰もがタイガーハニーか小池栄子(何時決めた?)
との戦いを求めて激しい戦いが繰り広げられるだろう。
透明人間は桃太郎ジュニア以外には無視され棄権とか、
一撃マスクはセクハラカウント5で退場とか、
贋総帥は貧弱すぎてレフリーストップとか、
いろいろな展開が待っていそうだ。
ああ楽しみだ!3000回記念大会!
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やるよね、絶対!?